~只今、全面改訂中~

☞【南北朝時代第2期④:1349年7-9月】『高兄弟、尊氏新邸を包囲!直義ついに失脚!』

こんにちは。

今回ご紹介しますのは、「南北朝時代第2期③:1349年7-9月」です。

師泰をはじめ、続々と師直派の武将が京都に集結します。

恐れをなした直義は尊氏のいる新居に逃げ込みますが、高兄弟らは尊氏の新居を包囲します。(専門用語で「御所巻」と呼びます)

結果的に、高兄弟の要求が通り、直義一派は失脚しました。

直義の後任には鎌倉から足利義詮が向かうことが決定しました。

一方、直義派の直冬には師直の刺客が送り込まれ、それを察知してか直冬は九州へ向かいます。

貞和5年/正平4年(1349年)7-9月年表

7/21高師泰、畠山国清を河内国石川城へ呼び、守備を命じる。自身は大軍を率いて京に向かう。

※目的は師直への協力と直義への軍事的圧力。
※直義は師泰へ執事就任を打診したが、師泰は「上京してお返事します」と。
8/9高師泰、入京
8/10足利尊氏、丹波国篠村八幡宮に参詣後、修理が完了した土御門東洞院邸に入る

※師泰が軍勢を率いて入京しようとしているのに篠村八幡宮に参詣できる神経がすごい。
8/11赤松円心(播磨守護)とその息子、則祐・氏範ら700騎が師直に味方するため参上

※その日のうちに分国播磨へ下り、備前・美作両国の街道を封鎖して備後国に滞在していた足利直冬の入京を阻止。
8/12大勢の武将が直義と師直の邸宅に参上し、旗幟(きし)を鮮明にした

※直義方…石塔頼房、上杉重能、上杉朝房、畠山直宗、石橋和義(擾乱では尊氏派に)、南宗継(高師直の又従兄弟→のち師直派へ)、大髙重成、島津光久、蘇我師助、饗庭命鶴丸(あえばみょうづるまる:尊氏の寵童して有名)、梶原景広、須賀清秀(師直とともに失脚したのだがここでは直義派に)、斎藤利泰ら。3000騎あまり

※師直方…仁木頼章、仁木義長、仁木頼勝、細川清氏、細川頼春、吉良満義(擾乱では直義派)、山名時氏(擾乱では直義派)、今川範国、今川頼貞、千葉貞胤、宇都宮貞宗、宇都宮蓮智、土岐頼康、佐々木道誉、佐々木六角氏頼、武田信武、小笠原政長、戸次頼時、荒尾、土肥、土屋、多田院の御家人、常陸平氏、甲斐源氏、高一族ら。5万騎を超える

なお、尊氏邸では新居祝いの弓場始が行われた
(それどころではない状況だったはずだが…)

※幹事役は上杉朝房。弓場始を終えたあとに三条殿に馳せ参じたのか。
8/13劣勢と感じた直義、兄・尊氏のいる館へ逃げ込む

※尊氏、直義に避難を勧める。これを見て師直派に寝返ったものも多く、将軍兄弟の軍勢は300騎にも満たなくなった。

→直義は光厳上皇に使者を送り、師直の流罪を申し入れる。
(しかし、状況的に配流など不可能)
8/14高師直・師泰、将軍邸を完全包囲

※付近の住人は大混乱。近くに住む崇光天皇も避難。
※足利尊氏、須賀清秀を使者に師直と交渉。
※師直の要求は、上杉重能、畠山直宗の流罪、僧妙吉、斎藤利泰、齋藤修理侵入道の5人の身柄引き渡し。これに対して「家人のくせに」と尊氏が激怒するが、直義がなだめる。
※結局、直義が引退し、直義腹心の上杉重能、畠山直宗が流罪することで決着。
(僧妙吉は、すでに逃亡していた。)
※また、当時、関東地方を統治していた足利義詮が直義のポジションに就任することが決定。(→二頭政治終焉)
※夜に軍勢解散。

♨この時点では「尊氏・直義vs師直・師泰」の構図。
8/15上杉重能、畠山直宗、配流先の越前国へ出発

※彼らの部下の住居は師直派に分配される。
※僧妙吉の大休寺も破壊された。
8/19直義、政務に復帰。師直は、執事に復帰

※光厳上皇の命を受けた夢窓疎石の仲介による
※その後も政務が普通に執り行われ、表面上は両者は和解。
8/-五方制引付方の復活

※三方制内談方が廃止。
※頭人は、
①仁木義氏(尊氏-師直派)
②長井高広(直義派)
③斯波家兼(尊氏-師直派。兄の斯波高経は直義派。)
④石橋和義(中間派)
⑤佐々木道誉(尊氏-師直派)
9/9足利基氏(10)、京都を出発し、鎌倉へ下向

※それまで東国を治めていた義詮が京都に行くことになったため、わずか10歳ながらその地位を譲られる形となった。
※足利基氏は赤橋登子を母とする義詮の同母弟。しかし、直義の猶子となり直義に教育されていた。
※のちの兄の入京と異なり、わずか100騎での寂しい行列であった。
9/13高師直、杉原又四郎に命じて備後国に滞在していた足利直冬を攻撃

※直冬は肥後国に没落。
※とはいえ、直冬は直義の失脚を知り、自ら転進したとも考えられる。
※実際、九州に移って移行の直冬は急速に勢力を拡大させる。
9/28尊氏、直冬に出家を命じる
9/-直義、左兵衛督を辞任

10/2には三条殿を離れ、細川顕氏の家に移る
足利直義
兄さん!困った!

師泰が大軍率いてやってくる!!

足利尊氏
えw、そうなの?

ま、大丈夫だよ。

今から引っ越し祝いの準備してくる。

赤松円心
あれほど頑張っておられた師直殿をクビにするとは、我々の身も危ない。

師直、師泰どの、加勢します。

高師直
あー、円心さん。

円心さんは念の為、直冬クンをケアってね。

佐々木道誉
師直どの、私も味方しますぞ!
高師泰
尊氏・直義兄弟とは長い付き合いだけど、

返事によっては一戦あるよ。

その覚悟でね。

足利直義
まずいー、殺されるっ。

兄さん、助けてー。

足利尊氏
え、そうなの?

まあ、お茶でも飲みな。

高師直
尊氏さま、完全にお家を包囲させて頂きました。

尊氏さま、ならびに直義さまに危害を加えるつもりはございません。

混乱を招いた原因である上杉重能、畠山直宗の流罪、僧妙吉、斎藤利泰、齋藤修理侵入道の5人の身柄をこちらに引き渡してください。

足利尊氏
師直テメェ、コラ!家人の分際でエラそうなことしやがって!

楽しみにしていた新居を取り囲むとはお前、分かってんだろうな!

1対100だろうが殺ってやるぞ!

それに身柄引き渡しだっけ?いい加減にせい!

足利直義
あわあわ…

兄さん、1対100どこじゃないんだよ…

ここは落ち着こう…

私が引退しますので、その鞘を収めてください…

 
高師泰
お、物分りがいい。

直義ちゃんの後継は、義詮ちゃんね。

足利尊氏
あ、それならいいよー。
足利直義
(え?いいの…?)

(あれ、なんか兄上、嬉しそう??)

(え、師直と実はつながってる??)

高師直
で、基氏クンが鎌倉着いたら、義詮ちゃんが京都に来るのね。

で、上杉重能、畠山直宗は流罪。

直義ちゃん、それでいいね?

足利直義
うん…

(師直め、いつか覚えてろよ…)

足利尊氏
で、師直、分かってると思うけど、、
高師直
はい。直冬クンのことでございますな。

今はまだ1人の若造に過ぎませんが、尊氏さまの血を引いているだけあって、いずれ義詮さまの脅威となりますでしょうな。

今のうちに摘んどきますね。

足利直冬
何か嫌な気配がする…

一刻も早く中国地方を出て、九州へ落ち延びよう。

たしか父上も同じルートを辿ったような…