こんにちは。
今回ご紹介しますのは、「終戦間際の国内クーデター:宮城(きゅうじょう)事件」についてです。
以下、「大日本史」(山内昌之・佐藤優、2017年、文春新書)などを参考にさせて頂きました。
「宮城(きゅうじょう)事件」とは
8/14夜から15日未明にかけて、徹底抗戦を唱える陸軍の一部青年将校がクーデターを図った事件のことです。
計画を知らされた阿南陸相
8月10日、阿南陸相は荒尾興功(おきかつ)軍事課長、義弟の竹下正彦中佐らにクーデター計画を知らされ、賛同を迫られます。
承詔必謹(しょうしょうひっきん)
8月14日、御前会議でポツダム宣言受諾が決定しましたが、竹下中佐は阿南陸相に辞任して内閣総辞職させるか、割腹するかの択一を迫ります。
これに対して、阿南陸相は「承詔必謹」、つまり、「天皇の言葉こそ絶対」としてこれらを退けます。
近衛師団司令部
しかし、一部の将校たちはそれで納得しませんでした。
15日未明、井田正孝中佐、椎崎二郎中佐、畑中健二少佐らは近衛師団司令部に赴き、クーデターへの参加を迫ります。
そして、拒否した森赳(たけし)師団長、白石通教(みちのり)中佐を殺害しました。
さらに、玉音放送を阻止するために近衛師団の歩兵連隊を動かし、宮城(皇居)を占拠します。
AM5:30、阿南陸相の割腹自殺
こうした中、朝5時半、阿南陸相が割腹自殺を遂げました。
この報を聞いたことで青年将校たちの反乱も収束しました。
午前11時に、椎崎中佐、畑中少佐も自刃します。
政治的な側面の強い東条、杉山たちではここまで影響を及ぼすことができなかったでしょう。
それと、ピストル自殺ではなく、割腹自殺というのもポイントなのです。
AM12:00、玉音放送
そして玉音放送が流れます。
なんていう一日でしょうか。
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「太平洋戦争の新常識」より
以下は『太平洋戦争の新常識』第12章「終戦の聖断」が八月十四日に下された実相(古川隆久先生)を参考にさせて頂きます。
本書によりますと、やはり、昭和天皇含めて関係者が最も恐れたのは陸軍全体が言うことを聞かない状態に陥ることでした。
昭和天皇自身は「天皇機関説」に近い考え方でしたが、軍部にとっては天皇が絶対的な権力を持っていた方がやりやすいのですよね…
「天皇退位説」もあったそうですが、アメリカも統治のために天皇が必要と考えていた点が大きなポイントかと考えます。
(このあたりはポツダム宣言が有条件か無条件か関係なく、日米とも一致していた点と考えるべきなのでしょうか。中国の歴史を見ると、すぐに「幼帝即位」となるのですが、そうならなかった点が良かったと思います。)
♨小さい頃は昭和天皇と言いますと、「あ、そう」と言う「おじいさん」のイメージしかなかったのですが、歴史を勉強すると、本当に同じ人物かと思うほど激動の人生を過ごされた方だったということがわかりました。長生きしていただいて、ありがたい、と思います。