こんにちは。
テレビのインタビューを見ていたところ、
「この騒動はいつまで続くんでしょうかね~」
と、若干、呑気とも思えるコメントをしている人がいました。
その方を責めるつもりはないのですが、
「いや、騒動が終わった時に、あなたは死んでいるかも知れませんよ。
何よりも、もし感染して片岡篤史選手みたいな状態になった時に、医者や看護師が適正数いないかも知れませんよ」
と、言いたいです。
最近、報道がちょっと変な方向に行っているような気がします。
「オンライン飲み会の感想」とか、「仕事が減った地下アイドルの動向」とか、
もっと他に伝えるべきことはあるのでは?
と思います。
無症候キャリアの方がいます。
この人が「陽性」であることが判明したとき、相応の防護をしていない医療従事者は数分の診察でも「濃厚接触者」とみなされて2週間の就業停止となります。
私は麻酔科医ですが、麻酔の仕事は曝露のリスクが高いので、挿管、抜管など普通に麻酔をしただけで「濃厚接触者」となります。
よって、防護はもちろん、様々な工夫を行いながら診療しております。
地域で小児科クリニックを営む妻は、発熱患者さんを診ざるを得ないので、さらに輪をかけて(資材も投入して)対策を行いながら、完全防護で診療にあたっております。
その姿勢には身内ながら感服します。
もし、医療従事者が就業停止となった時は、残ったスタッフ、近隣病院などにシワ寄せが行きます。
それが1箇所ならまだしも、2箇所、3箇所となったら…
それを食い止めるべく、やるべきことはやりたいと思います。
幕末・明治時代にコレラで死んだ人が日本だけで37万人【コチラ】、
第1次世界大戦時のスペイン風邪にいたっては全世界で死者1600万人以上、
アメリカ大陸が発見されたことで原住民が全滅・・・
などがあっても人類は生き残ってきたことを考えますと、
生物学的にはおそらくコロナに勝利すると思うのですが、
コロナが原因で死ぬ人が1人でも減るよう、
目の前の1人に全力で診療したいと思います。
もちろん、コロナに気をとられて、思わぬ落とし穴に落ちないように、注意もしたいと思います。【コチラ】
以上。
【追記】(2020/04/22)
そして、今、院内感染対策のフェーズが変わってきた。
患者さんからもらうというより、同僚からもらう確率が上がってきたためだ。
しかし、そもそもそんなに休める仕事ではない。
NYでは症状なければ濃厚接触してようと休まずに働いているそうだ。
【追記】(2020/04/28)
挿管、抜管といった手技はエアロゾル発生の高リスク。
とのことで、巷では「エアロゾル・ボックス」なるものが次々と商品化されている。
しかし、メーヨー台に70Lポリ袋を被せれば、これで事足りると思う。
勤務先の看護師長さんのナイス・アイデア。
ちなみに抜管時はboxの中にゴミ袋入れておいて、そのままポイ。
【追記】(2021/01/06)
挿管、抜管対策はその後、いくつもの試作品を経て、
「軟性エアロゾルボックス」を完成。
数万円するエアロゾルボックスを数百円台にまでコストカット。
臨床麻酔2020年10月号にも掲載されました。
査読委員の方からも「おもしろい」と言って頂けて良かったです。