こんにちは。
今回ご紹介するのは、河島真先生の『戦争とファシズムの時代へ』。
この本、この時代における私のバイブルとなりました。
近代史の書籍は数多くありますが、このシリーズ全部買ってみようと思いました。
本書の利点は、丁寧に「事実」を淡々と記している点です。
筆者の「自論」が「盛り込まれすぎた」本は読み物としては面白いのですが、危険なんですよね…
そして、文章が実にシンプルな点もおすすめできるポイントです。
難しいことを、「無駄なく」説明しておりますので、
国語や小論文の勉強にもなるんじゃないか、って思うほどです。
1926年から1937年は現代にも通じる部分があるという点で、勉強して損はない時代と思いますが、
これさえあれば十分でしょう。
書籍購入はコチラから
戦争とファシズムの時代へ (日本近代の歴史) [ 河島 真 ]価格:3,080円 (2020/12/31 17:37時点) 感想(0件) |
普通選挙法後、無産政党すべてが迫害されたわけではない
少しだけ、第1回普通選挙法について紹介します。
まず、1925年、「男子普通選挙法」が制定されたわけですが、
この段階で、
時の内務官僚たちは「無産政党」(労働者たちの党)を「政治に不可欠」と考えていた
んですって。
おそらく他の書物では、治安維持法で共産党、無政府主義者が検挙されたことから、「無産政党が弾圧された」(無産政党=資本家ではない)ということがクローズアップされているかと思います。
(三一五事件とか、四一六事件とか)
しかし、ここで弾圧を受けたのは共産党、無政府主義者であって、すべての無産政党ではありません。
共産党、無政府主義者たちは「天皇制打倒」を主張していたから国体変更のクーデターの意志があるとみなされて排除されたのです。
そうでない、「普通の」無産政党は弾圧を受けておりません。
内務官僚たちはイギリスの「労働党」のような存在を必要としていたということです。
これを知って、日本史の見方が変わりました。
アメリカ大統領選でも「民主社会主義」を掲げるバーニー・サンダースが話題になりましたしね。
現在の若者たちは、「社会主義」という言葉に全く抵抗がないみたいですよ。
とにかくいろいろ勉強になりますし、考えさせられます。
オススメです。
※袁世凱死去後の中国の軍閥跋扈状態の説明がどこの何よりもわかりやすかったです!(そもそも掲載されていない本の方が多い。)