こんにちは。
今回ご紹介しますのは、「中国共産党の初期」についてです。
1927年4月、張作霖はソ連が「中国共産党」を使って奉天政権転覆を狙っていることを疑い、ソ連大使館を強制捜査しました。(コチラ)
そこにいた中国共産党員「李大釗」(り たいしょう)は逮捕され、軍法会議にかけられて処刑されております。
さて、初期の中国共産党はどんなだったのでしょうか。
【年表】中国共産党発足(1921年7月)~李大釗死刑(1927年4月)
1921.7 | 共産ソ連・コミンテルンから上海へ派遣されたグレゴリ・ヴォイチンスキーの勧誘により中国共産党が正式発足。(※1) 初期メンバーに李大釗、陳独秀、毛沢東ら。 |
1921.12 | コミンテルンより派遣されていたマーリン(オランダ出身)が孫文に国共合作を提言。(※2) ※コミンテルンは南方の孫文に肩入れした。 |
1922 | 李大釗が共産党員のまま国民党に入党。 ※日本では「日本共産党」発足 |
1923.1 | 孫文・ヨッフェ共同宣言 ※ソ連からの援助を確認。 |
1923.10 | 孫文、国民党を改組。 ※五人の改組委員に汪兆銘(左派)、戴天仇(右派)、李大釗(共産党)らを任命。 コミンテルン工作員ミハイル・ボロディンが中国国民党最高顧問に就任。 |
1924.1 | 中国国民党第1回全国代表者会議 第1次国共合作が確認。 ※レーニン死去 |
1924.6 | 黄鋪軍官学校設立 (トロツキーの元に3ヶ月派遣された蒋介石が校長、共産党員の周恩来が政治部主任に就任。) ソ連からの武器援助。 |
1925 | 孫文死去 |
1925 | 汪兆銘が政府首席に就任。 |
1926.1 | 第2回国民党全国大会 李大釗ら7名が中央執行委員に。(第1回では3人) |
1926.3 | 中山艦事件(※3) |
1926.7 | 蒋介石、北伐宣言 |
1927.3 | 南京事件 |
1927.4 | 張作霖、ソ連大使館強制捜査(※4) →李大釗逮捕、死刑。 上海クーデター、南京政府樹立(蒋介石) →蒋介石ら南京政府と共産党は反目。 (のち、汪兆銘らの武漢政府も共産党と反目。) |
(※1)中国共産党の産声
早稲田大学で学んでいた李大釗は、「対華21か条の要求」に激怒。
打倒袁世凱、打倒日本を心に決めました。
日本への留学経験もある陳独秀は、「新青年」を発行。
儒教からの呪縛を解こうと、思想界をリードしました。
彼もまた「対華21か条の要求」からの「五四運動」を見てマルクス主義に傾倒していきます。
この2人に加えて重要なのが、グレゴリ・ヴォイチンスキー。
1920年よりコミンテルンから派遣されていた彼は、李大釗、陳独秀らを指導する形で「中国共産党」を設立させます。
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ちょっと注意したいのは、1921年7月の「中国共産党第1次全国代表大会」には李大釗も陳独秀もヴォイチンスキーも参加していないという点でしょうか。
(毛沢東は長沙代表として参加しております。)
参加者は各省の代表者13名と、コミンテルンからマーリン、ニコリスキーの2人。
上海のフランス租界で行なわれましたが、警察に知られ、場所を移動しながらの大会となりました。
李大釗
【李大釗】(り たいしょう・・・1888~1927)
湖北省出身。早稲田大学留学中に「対華21か条」を聞いて激怒。1918年、「新青年」に論文を発表し労働者の決起を促した。日本の社会主義者にも接触。
陳独秀
【陳独秀】(ちん どくしゅう:1879~1942)
安徽省出身。新宿の成城学校に留学経験あり。雑誌「新青年」を創刊。胡適や魯迅らが投稿。儒教の呪縛を離れ、「民主」「科学」の必要性を説く。初代中国共産党総書記。
グレゴリー・ヴォイチンスキー
【グレゴリー・ヴォイチンスキー】(?~?)
中国で共産党を設立する任務を帯びて来中。新聞記者を装い活動。
なお、日本共産党の設立は1922年7月。
堺利彦、山川均、佐野学、鍋山貞親らが中心となりました。
(しかし、コミンテルンからの「22年テーゼ」をめぐって紛糾。)
(※2)第1次国共合作
中国共産党が消失してしまわないよう、オランダ人コミンテルンのマーリンは国共合作を提案。
当時、国民党は資本家や知識層を支持者としていて、共産党とは大きく異なったため、陳独秀は国共合作に反対でした。
(しかし、押し切られる)
一方、孫文は国共合作によりソ連の武器、資金を援助されることを喜びました。
(「三民主義」に「連ソ・容共・扶助工農」を加えるほど)
マーリン(本名:ヘンク・スネーフリート)
【マーリン】(1883~1942)
オランダの共産主義者。国共合作を(無理やり)実現。トロツキー派。最期はナチスにより殺害される。
ミハイル・ボロディン
【ミハイル・ボロディン】(1884~1951)
ソ連工作員。ユダヤ系。1923年から1927年まで中国国民党最高顧問を務める。
(※3)中山艦事件
蒋介石は国民党内における共産党勢力の伸張に危機感を抱いていました。
(黄鋪軍官学校の政治部主任は共産党の周恩来ですしね。)
そのため、コミンテルンおよび中国共産党にとって邪魔者となっていました。
そんな蒋介石の拉致未遂事件がこの「中山艦事件」です。
蒋介石は相手の動きを封じ、その地位を向上させました。
ならびに共産党員への弾圧も始まりましたが、ソ連は当時、トロツキー派(世界同時革命)からスターリン派(一国社会主義)への変換期で、これを容認しました。
その後、北伐中の「南京事件」、「上海クーデター」を経て国共合作は停止します。
↓コチラも↓
(※4)張作霖のソ連大使館強制捜査
そして張作霖は張作霖で「ソ連大使館強制捜査」を行ないます。
(ソ連の工作は当然ながら満州も入っていたのでしょう。)
このとき得た資料は、
外国の干渉を招くための掠奪・惨殺の実行の指令
wikipedia「ミハイル・ボロディン」より引用改編
短時間に軍隊を派遣できる日本を各国から隔離すること
在留日本人への危害を控えること
排外宣伝は反英運動を建前とすべきである
というものでした。
「外国の干渉を招く」ことを目的とするなど実際に南京事件にあてはまりますね。
(「外国の干渉」→「ナショナリズムの高揚」→「革命」が狙いなのでしょうか、うまくいけば巧妙そのものですが、リスクも高いような気がしますが。)
大使館にいた李大釗は裁判で死刑となりました。
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(複雑ですが・・・)
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