~「もう一つ上の日本史」出版に伴い、勉強方法も変える必要が出たので、全面改訂突入します~

☞【世界の人口は増え続けない!『ファクトフルネス』(2019年、ハンス・ロスリング)】

2019年を代表するベストセラー本。

歴史も大事だが、固体観念を捨てて事実を正しく見ることはもっと重要。

「ドラマチックすぎる世界の見方」が「ありのまま」に見ることを妨げる。

1.分断本能

★「世界は分断されている」という考えは、とんでもない間違いである。

「先進国」と「発展途上国」という括りはもはや正しくはない(1965年ならまだしも)。

「レベル1-4」に分ける方法がもっとも正しく、世界の人々の多くは中間所得層にいる

<現在、低所得国に暮らす女子の何割が初等教育を修了するか?>

60%

★善と悪の二項対立は、ドキュメンタリー番組や大ヒット映画でお決まりの構図であるが、世界はそんなにドラマチックではない

♨数学テストの男女の得点分布の違いはわかりやすい。(男女の点数はほとんどが重なっているのだ。)

★「ブラジルでは裕福な10%の層が国民所得の41%を稼いでいる」と言われると悪いイメージをもつかも知れないが、1990年においては国民所得の50%を稼いでいるのであった。

2.ネガティヴ本能

「世界はどんどん悪くなっている」というのは思い込みである

直近20年を見ると、現在、人類史上、もっとも速いペースで極度の貧困が減っている

♨こういう考えは楽観主義から来るものではなく、「可能主義」からくるもの(筆者の造語)。

<世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は過去20年でどう変わったか?>

A…<半分に減った>

<世界の平均寿命は?>

A…<72歳

ちなみに1973年での平均寿命は60歳。

人工的な大飢饉として人類史上最も多くの死者を出したのは1960年代の中国で、推定死者数は1500~4000万人と言われる。

現在では平均寿命50歳以下の国はない。

減り続けていること…核兵器、戦争や災害での死者数、大気汚染、オゾン層の破壊など

★増え続けていること…女子の教育、電気の利用、安全な飲料水、予防接種など(いずれも>85%)

ジャーナリストや活動家による「偏った報道」というのもネガティブ本能を刺激する

★「あのころは良かった…」という人がいるように、思い出は美化される。

★狩猟社会では殺人率が10%を超えることも多い(?)p84

★「悪いニュース」ほど広がりやすい。「本日、銀行強盗が起きませんでした」ではニュースにならないのだ。

3.直線本能

「世界の人口がひたすら増え続ける」と言うのも思い込み

現在の子供の数は20億人であるが、国連の予測では2100年も変わらなく、人口も110億人で横ばいになる。

<15歳未満のこどもは現在20億人。2100年には?>

A…20億人。

★ちなみに1800年ごろで10億人。その後の130年で20億に、それから100年もしないうちに70億人となった。

<2100年には110億人になるというが、人口が増える大きな理由は?>

A…大人(15歳~74歳)が増えるから

★子供が増えるからではない。子どもの数は横ばいで、子供が大人になる分、増える。

★宗教による大家族はいかにもドキュメンタリー的。実は関連はない。

★グループ2-4の女性1に対する子供の割合は2。疑わしいかも知れないが事実である。一方、グループ1では5。これまでビル・ゲイツ夫妻は数百億ドルをここに寄付して何百万人の子供の命を救ってきたが、彼らにいちゃもんをつける人は絶えないらしい。

子供が生き延びやすくなると、人口は減るのである女性が教育を受けることでも人口は減る。反対に貧しい子どもを助けないと、人口は増えるのである。ちなみに現在のバングラディッシュの乳幼児生存率は97%で、40年前の80%以下から激増。アスワン・ハイ・ダムによるエジプトの成功も乳幼児死亡率を改善させた。この2つは奇跡的。

4.恐怖本能

実は現在は人類史上最も安全な時代である

しかし、メディアは恐怖本能を刺激する方法をしばしば行う。「身体的な危害」、「拘束」、「毒」がトップワードである。

もっともレベル1の暮らしをしている人は蛇に噛まれて毎年6万人の人が命を落とすが、レベル4の暮らしをしている大多数の人が、これらの危険に遭遇する可能性は低い。

<自然災害で亡くなる人は過去100年でどう変わったか?>

A…<25%程度になった。>

★レベル1の国でさえ、インフラは強化された。ネパールのような国で地震が起きても、救助ヘリによって被害が抑えられるのが現代である。

★ただ、災害が鎮静化するまで声を出すのは控えた方がよかろう。2015年のネパールの地震で10日間に9000人が亡くなったが、同じ10日間に汚染された水を飲んで下痢で死んだ子供も9000人である。

★空の旅はここ70年の間で2100倍安全になった。1944年のシカゴ条約により、各国の事故の報告書の形式を統一し、失敗を共有できるようになったことが大きい。

★第2次世界大戦で6500万人が命を落とした。それ以降、大規模な戦争が起きていないのは人類史上初めてのことである。シリアの内戦は収まる気配がないが、それでも犠牲者数は今のところ数万人規模である。(だからと言って、シリアの人々には何の慰めにもならないが。)

★1985年、核戦争防止国際医師会議にノーベル賞が。1986年に6万4000発あった核弾頭は、現在では1万5000発に減っている。

★DDTの被害はレイチェル・カーソンなど大衆科学作家により明らかにされたが、化学物質汚染恐怖症も生み出した。しかし、DDTは多くの場面でメリットがデメリットを上回る。難民キャンプで蚊が大量発生した場合は使った方が早いが、議論が進まない。膨大な調査報告では、「人体にとってやや有害」とするもので、DDTで死んだ人はいないにも関わらず。

★それよりも海底の破壊、魚の乱獲の方がよほど急を要する問題。

★テロ事件は増えているが、レベル4の国に関しては減っている。2001年以降、ハイジャックによる殺人犯はいない。アメリカでは1年あたり飲酒による殺人や飲酒運転による事故で7500人が犠牲になっているが、これはテロで亡くなる確率より50倍高い。(しかし、酔っ払いにより殺される犠牲者はほとんどテレビに映らない。)

5.過大視本能

★人はみな物事の大きさを判断するのが下手くそだ。これは過大視本能による。1つの実例を重要視し過ぎてしまうことなどはこれ。メディアはそれにつけこむのが得意。過大視本能とネガティヴ本能が加わると、世界の進歩を過小評価してしまううえに、労力を無駄遣いしてしまう。

★1980年代、モザンビークで最低限の治療すら受けられない大多数の子供たちを差し置いて病院での治療のみに集中していたら、98.7%の子供を見殺しにしてしまうところであった。まずはできるだけ多くの子供に予防接種を受けさせるという方法をとった。政治家はハコモノを建てるのが大好きであるが、子供の生存率が伸びる理由の多くは病院の外にある特に、「母親が読み書きできる」というのが大きい

★赤ちゃんの死亡は2016年で420万というが、2015年は440万人、1950年に至っては1440万人である。割合で考えるとさらに低下。

★ちなみに、ベトナムにとって中国との戦争は2000年間、フランスとの戦争は200年、アメリカとの戦争は20年である。

★2009年の豚インフルエンザは報道が過熱していたが、死亡者は31人。結核による死亡に比べて8万2000倍の注目を浴びていた計算になる。

<現在、70億人の人口がいるがアジア大陸に住んでいるのは何人か?>

A…<40億人> 

★その他の地域で10億人ずつ。2100年にはアフリカ大陸で30億人増えて40億人、アジア大陸はさらに10億人増えて50億人、アメリカ大陸、ヨーロッパ大陸では10億人のままという予測。

6.パターン化本能

★パターン化は欠かせないが、1つの例が全てに当てはまる、と考えるのは愚かな思い込み。パターン化は手っ取り早い情報伝達の手段でもあるため、メディアの十八番でもある。(世界が分断されていると考えているのもパターン化のせい。)

<世界中の1歳の中で何らかの病気に対して予防接種を受けている子供の割合は?>

A…<88%>

★ワクチンが子供に届くまで冷蔵コンテナなどが必要であるが、できているのだ。

★レベル2とレベル3の働く女性の方が多いのに、レベル4の人向けの生理用ナプキンしか作っていない企業はダメである。マーケティングの間違い。

★ちなみに、インドの医学生たちは欧米人の3倍くらいの教科書を読んでいる。西洋の支配は長くは続かないと感じている。

★DollarStreetのwebで各レベルの人の暮らしがどのようなものか旅行しなくてもわかる。人々の暮らしぶりに最も影響を与えているのは宗教でも文化でもなく、収入である。国によるステレオタイプは意味がない。

★自分の分類の仕方は間違っているかもしれない、といつも疑うべき。

①同じ集団の中の違いと違う集団の間の共通点を探すこと(アフリカは1つではない。チュニジアとガーナとソマリアは全く違う。)、

②過半数に気を付けること(51%と99%は違う)、

③例外に気づくこと(「化学製品は危険」というように、一元的なものの見方しかしない人には他の例をあげるか、逆の例を出させる。強烈な例は頭に残りやすいが、例外かも知れない。)、

④自分が普通だと決めつけないこと(特に自分の経験をもとに他人をアホと決めつけない)、

⑤ひとつのグループの例を他のグループにあてはめていないかを振り返ること。(うつぶせ寝は実は悪かった。)

パターン化は間違いを生みやすい。(♨世界史もそう。)

7.宿命本能

「ものごとは変わらない」、「すべてはあらかじめ決まっている」というのは思い込み

★一番儲かる投資機会はアジアとアフリカであるにも関わらず、投資家はなかなか理解しようとしない。ナイジェリア、エチオピア、ガーナはすごい、と言うのに。今や世界中における女性の平均学校教育年数は、男性が10年であるのに対して9年。北欧だけが男女平等なわけではない。

★35年前のインドは今のモザンビークと同じくらいであった。

★今やイランの1人当たりの女性の出産率はアメリカより少ない。(それだけ計画的に妊娠、出産しているし、性教育も完全に行われている。)

★妻が夫の親の世話をしたり、母親が息子の世話を1から10までするのは、日本や韓国が特殊。「アジア男児の流儀」と言う人もいるが、女性たちの感じ方は違ってきている。

★文化などと言うものは変わっていくものだ。(♨生物学的に言えば、変化のないものは絶滅する。)

8.単純化本能

世の中の様々な問題に1つの原因と1つの答えを当てはめてしまうことを単純化本能という

「世界は1つの切り口で理解できる」なんていうのは思い込みである。あれこれ悩まずに済むし、時間の節約にもなるかも知れないが、本当に理解しようと思うとこのやり方は役に立たない。

★世界を1つの切り口だけで見てしまうのは、①政治思想と、②専門知識。

専門家だからといって、その周辺知識にも詳しいわけではない。活動家は実際より大袈裟に話す

専門知識に詳しいと、なんでも専門知識で解決しようとしてしまう傾向がある。しかし、さまざまな問題がその人の業界の専門知識で解決されるはずがない。1つのことに秀でている人が他の分野も秀でていると感じるのは錯覚に過ぎない

人類の進歩を数字で測ることも限界がある。医療で何もかも解決できるわけではない。

★アメリカもキューバも極端。

★ちなみに民主主義でないと経済は成長しないと言うのも思い込み。

★単純なものの見方、単純な答えには警戒し、知ったかぶりも辞めよう。

9.犯人捜し本能

何か悪いことが起きた時、単純明快な理由を見つけたいがために、誰かを責めれば物事は解決するというのは思い込み。この「犯人捜し本能」のせいで、個人なり集団なりが実際より影響力があると勘違いしてしまう。

★人間によって大気に蓄積された二酸化炭素の大部分はこの50年間でレベル4の人々が排出してきたものがほとんどであり、カナダ1人当たりの二酸化炭素排出量は今でも中国の2倍、インドの8倍である。

★とてつもなく破壊的なリーダーがいたり紛争が起きている場合、社会や経済の発展が止まっているが、それ以外の国では無能な大統領のもとでも進歩している。国を進歩させているのは社会を築いている数多くの無名の人々なのだ。エボラ出血熱を止めることができたのは、強いリーダーや国境なき医師団、ユニセフなどではなく、名もなき普通の政府の職員や地元の医療スタッフが、いにしえからの葬儀の風習をほんの数日で変え、命がけで治療にあたったからだ。

★メディアのせいにしたり、個人や集団のせいにしたりするのはやめよう。犯人を見つけたとたんに、考えるのを辞めてしまうことの方が問題だ。ほとんどの場合、ものごとははるかに複雑であり、犯人よりもシステムに注目すべきであろう。世界を本当に変えたければ現実の仕組みを理解することが必要だ。

★犯人より原因を探すべき。ヒーローより社会を機能させている仕組みに注目。

§10.焦り本能

★今すぐ手を打たないと大変なことになると言う焦りは思考や行動も停止させてしまう。

★最悪のシナリオを見せるのであれば、いちばん可能性の高いシナリオも、最高のシナリオも見せなければならない。

★地球温暖化は、手当たり次第結び付けられてしまう傾向があるが、科学的な根拠に乏しいものもあるし、長期的に取り組むべき問題だ。「温暖化難民」などという言葉を作り出すやり方をもっとも嫌う。

★エボラ出血熱の時に、データを整理して改善に向かっていることがわかったが、アメリカCDCなどはまだ危機を煽ろうとしていた。

★第1次世界大戦中に流行したスペインかぜで5000万人が命を落とした。大戦の犠牲者より大きい。世界の平均寿命は33歳から23歳に縮まった。感染症の世界的な流行は脅威の1つである。

★金融システムは複雑すぎて、どんなに優秀な経済学者でさえ先の金融危機を予測できない。これも脅威の1つ。

★人間には暴力で報復したがる本能があり、第3次世界大戦も危惧せねばならない。

★地球温暖化対策には地球規模の統治機構が必要だ。ここ20年でオゾン層破壊物質も有鉛ガソリンも廃止で来た。世界が力をもって取り組むべき。

★極度の貧困は減ってきたとはいえ、まだ8億人が取り残されている。早く動けばそれだけ問題が小さいうちに抑えられる。他の場所で効果のあった対策を届ければいいだけだ。もっとも暴力や武装勢力から逃れられない人々が難しい。

★焦り本能を抑えるには小さな一歩を重ねよう。深呼吸し、占い師に気を付け、データを見直し、過激な対策にも注意。大胆な対策には副作用もある。ドラマチックな対策よりたいていは地道な一歩に効果がある。

§11.ファクトフルネスを実践しよう

★異なるレベルの人々のことについても勉強しなくてはならない。医師も看護師も。企業も。

★最新の事実に基づく世界の見方は子供たちにこそ教えるべきだ。

世界の多くの人は中程度であること、自分たちの国がレベルいくつなのか、今のレベルになるまでどのような過程を経てきたか、貧しい人のレベルは上がっていること、悪いことも起きているけど良いことも起きていること、メディアの手口を見抜くこと、文化や宗教のステレオタイプは世界を理解するのに役に立たないこと、知識をアップデートすることの必要性など。

そして、何よりも謙虚さと好奇心。

新しい事実を発見したら喜んで意見を変えること。好奇心があれば新しい情報を受け入れられ、いつも面白いことを発見し続けられる。大人の知識をアップデートする方法も見つけなければならない。

★民族衣装よりもドルストリートを勉強しよう。

★今のガーナ、ナイジェリア、ケニアは最高の投資先。

<現在、スウェーデンで65歳以上の数は20%。10年後はどうなっているか?>

A…<20%>

★高齢化について嫌と言うほど聞かされているが、そのままのペースで増えることはない。

★ヨガや瞑想などのマインドフルネス同様に、ファクトフルネスも自らを謙虚にさせ、癒してくれる。自分自身の見方も変わるであろう。

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