~只今、全面改訂中~

こんにちは。

今回ご紹介しますのは、「ファクトフルネス」(2019年)です。

2019年を代表するベストセラーですね。

そして現在でも売れ続けております。

国民の1%が読んでいると思って下さい。

要約すると、「事実を正しく見て固定観念を捨てなさい」ということでしょうか。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 [ ハンス・ロスリング ]価格:1,980円
(2019/11/2 17:33時点)
感想(21件)

「ドラマチックすぎる世界の見方」が「ありのまま」に見ることを妨げる。

以下、ダイジェストで送ります。

1.分断本能

どうやら世界は分断されている」という考えは、とんでもない間違い

1965年ならまだしも、「先進国」と「発展途上国」という括りはもはや正しくはない

(ついつい使ってしまいますがね。)

一例としまして、現在、「低所得国」に暮らす女子の何割が初等教育を終了すると思われますか??

…正解は「60%」だそうです。

世界は「レベル1-4」に分ける方法がもっとも正しく、世界の人々の多くは中間所得層にいる

(それぞれの生活レベルはdollar streetというサイトを見るとよく分かるかと思います。)

「善」と「悪」という二項対立は、ドキュメンタリー番組や大ヒット映画でお決まりの構図ですが、世界はそんなにドラマチックではないし、

男女の数学テストの得点分布などは、ほとんど重なっている。

2.ネガティヴ本能

「世界はどんどん悪くなっている」というのも「思い込み」。

(世界情勢とは別に、「昔は良かった」的な感覚を常に持たれている方もいるかと思いますが。)

直近20年は、人類史上、もっとも速いペースで極度の貧困が減っている

実際、「極度の貧困」にあたる人の割合は、この20年で半減。

1973年に60歳だった世界の平均寿命は現在72歳。

平均寿命50歳以下の国は現在ない。

もっとも、1960年代の中国で起きた人工的な大飢饉は、1500~4000万人の死者数を出し、これは人類史上最多。

減り続けていること

核兵器、戦争や災害での死者数、大気汚染、オゾン層の破壊など

増え続けていること

女子の教育、電気の利用、安全な飲料水、予防接種など(いずれも>85%)

また、危険なものとしては、ジャーナリストや活動家による「偏った報道」

(コロナ禍で特に思いました。でも、これはどの国も一緒なんですね。)

反共感論

「本日、銀行強盗は起きませんでした」ではニュースになりませんもんね…。是非、本書も。

3.直線本能

「世界の人口がひたすら増え続ける」と言うのも思い込み

現在の子供の数は20億人ですが、2100年に子供の数も予測としては「20億人」。

2100年には人口が110億人になると言われておりますが、

人口が増える大きな理由は大人(15歳~74歳)が増えるからであって、子供が増えるからではない。

子供が生き延びやすくなること、女性が教育を受けることが人口減少に結びつくのであり、

貧しい子どもを助けないと、人口は増える。

(この考えは戦後生まれの方は強く認識しているでしょう。)

ちなみに現在のバングラディッシュの乳幼児生存率は97%

40年前の80%以下から激増。

アスワン・ハイ・ダムによるエジプト乳幼児死亡率改善とともに奇跡的。

ちなみに、先の「レベル2-4」の生活を送る女性1に対する子供の割合は2。

これが、「レベル1」では5。

ビル・ゲイツ夫妻は数百億ドルを寄付して何百万人の子供の命を救ってきた。

(しかし、やっかみを言う人が絶えない)

4.恐怖本能

実は現在は人類史上最も安全な時代

その証拠に自然災害で亡くなる人の数は100年前に比べて25%。

しかし、メディアはあらゆる手段で恐怖本能を刺激する。

(これが良くない!)

レベル1の暮らしをしている人は蛇に噛まれて毎年6万人の人が命を落とすそうですが。

(しかし、レベル4の暮らしをしている大多数の人は、こうした危険に遭遇する可能性は低い。)

もっともレベル1の国もインフラは強化されておりまして、ネパールで地震が起きても、救助ヘリによって被害が抑えられるのが現代。

(ただ、こうした意見は災害が鎮静化するまで控えた方が良いでしょう。)

2015年のネパール地震で10日間に9000人が亡くなりましたが、同じ10日間に汚染水を飲んで下痢で死んだ子供も9000人いたそうです。

空の旅はここ70年の間で「2100倍」安全に。

(1944年の「シカゴ条約」により、各国が事故報告書の形式を統一し、失敗を共有できるようになったことが大きい)

…第2次世界大戦で6500万人が命を落としましたが、それ以降、大規模な戦争が起きていないのは人類史上初めてだそうです。

1986年に6万4000発あった核弾頭は、現在1万5000発に減少。

DDTの被害はレイチェル・カーソンなど大衆科学作家により明らかにされましたが、実際は多くの場面でメリットがデメリットを上回る。

例えば難民キャンプで蚊が大量発生した場合は使った方が収束が早い。

しかし、「化学物質汚染恐怖症」によって、議論が進まないことが問題。

「人体にとってやや有害」でありつつも、DDTで死んだ人はいないが。

それよりも海底の破壊、魚の乱獲の方がよほど急を要する問題。

テロ事件は増えているが、レベル4の国では減っている。

2001年以降、ハイジャックによる殺人犯はいない。

酔っ払いにより殺される犠牲者はほとんどテレビに映らないが、アメリカでは1年あたり飲酒による殺人や飲酒運転による事故で7500人が犠牲。

これはテロで亡くなる確率より50倍高い

5.過大視本能

「過大視本能」とは、1つの実例を重要視しすぎてしまうこと。

(メディアはそれにつけこむのが得意。)

過大視本能とネガティヴ本能が加わると、世界の進歩を過小評価してしまううえに、労力を無駄遣いしてしまう。

1980年代のモザンビークで、病院での治療のみに集中していたら、98.7%の子供を見殺しにしてしまうところであった、というのは著者(公衆衛生医師)の回想。

著者はできるだけ多くの子供に予防接種を受けさせることで、地域の生存率を上げた。

子供の生存率が伸びる理由の多くは病院の外にある。特に、「母親が読み書きできる」というのが大きい

6.パターン化本能

「パターン化は欠かせないが、1つの例が全てに当てはまる、と考えるのは愚かな思い込み。」

(パターン化は手っ取り早い情報伝達の手段でもあるため、メディアの十八番でもある。)

世界では「レベル2-3」で働いている女性が圧倒数なのに、「レベル4」向けの生理用ナプキンしか作っていない企業はダメになる。

現在、70億人の世界人口のうち、アジア大陸に住んでいるのは40億人。 

(その他、アフリカ、欧州、アメリカで10億人ずつ。)

2100年にはアフリカ大陸は30億人増えて40億人、アジア大陸はさらに10億人増えて50億人、アメリカ大陸、ヨーロッパ大陸では10億人のままという予測。これからのマーケットはそっちだろう。

ちなみに、著者はインドの医学生たちが欧米人の3倍くらいの教科書を読んでいるのを見て、西洋の支配は長くは続かないと感じた。

国によるステレオタイプは意味がなく、

人々の暮らしに最も影響を与えているのは宗教でも文化でもなく、「収入」。

パターン化は間違いを生みやすいので、自分の分類の仕方は間違っているかもしれない、と常に疑うべき。