こんにちは。
今回ご紹介しますのは、「発達障害」(岩波明、2017年、文春新書)です。
「発達障害」を「精神病」とイメージされる方もいらっしゃるかも知れませんが、
「普通に生活している、ちょっと変わった人」が「発達障害」のケースが多いんですね。
現在、コロナ禍が大変なことになっておりますが、
マスクをするのがふさわしいような公共の場面で「あえてマスクしない」人とかも「発達障害」の一種かと思ったりします…。
さて、日本史上で言いますと、最も「アスペルガー」っぽいのは誰でしょうか。
私は、大村益次郎、を真っ先に思い浮かべます。
大村益次郎
【大村益次郎】(1825~1869)
出身:長州藩 村医の息子。
出身校:適塾(大坂)で西洋医学を学ぶ。
学生時代:驚異的な語学能力で塾頭に。
医者時代:世間話が苦手。「暑いですね~」と挨拶されても「夏は暑いのが当たり前です」と答える有様。おかげで患者は少なかった。
転職:語学の能力を買われ、宇和島藩に技術者として招かれれる。オランダ語の専門書を読んだだけで大砲を見事作り上げる。
栄転:長州藩・桂小五郎に招かれ長州藩の軍制改革を行なう。その後、天才的な軍事の才能で鳥羽伏見の戦、戊辰戦争を勝利に導く。(しかし、そのやり方に反発するものも多い。)
最期:暗殺。
驚異的な語学能力は「サヴァン症候群」かも知れません。
西郷隆盛を「いずれ敵となる」と見抜くなど洞察力にも優れておりましたが…
どうも周囲とうまくいかないんですよね…
もっとも、こういう人が職場の上司とかであると、大変なことになるのですが…
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対人関係の障害≠アスペルガー症候群
さて、近年、ドラマの主人公などに「アスペルガー症候群」を連想させるキャラクターが抜擢されることが増えているとのこと。
(「逃げ恥」とか。)
これらフィクションの世界では「アスペルガー症候群」は
「ちょっと変わっているけど、純粋」
と描かれることが多く、一つの「魅力」として伝えられます。
ところが、マスコミを含めた一般の人が思い浮かべる発達障害と、精神科医の見立ての間に乖離が生じてしまっているというのが著者のご意見でもあります。
「ちょっと変わっている人」をアスペルガー呼ばわりされることはよくあるみたいですが、
そもそも健常者であっても「対人関係の障害」は頻繁に見られるため、対人関係の障害のみで発達障害と決め付けてはいけないのですって。
これは注意しなくてはいけませんね。
また、本書でちょっと面白かったのは、近年、
奥さんが「ウチの夫は話が通じないのでアスペルガーではないか」、
旦那さんが「ウチの妻は片付けができないのでアスペルガーではないか」、
と訴えるケースが増えたということです(笑)。
こういう人たちは多くの場合、アスペルガーではないんですが、古来より男女は分り合えないのが常、という事実を反映したものでしょうかね…。
詳しくは是非本書を。
I think the most famous Asperger’s syndrome in the Japanese history is Masujiro Omura.