こんにちは。
今回ご紹介しますのは、「戦後」のダイジェストです。
もっとも、「戦後」という言葉は日本では「第2次世界大戦後」という意味を持ちますが、他国では第2次世界大戦後もいくつかの戦争があったので、「戦後」という言葉を使うと、どの戦後なのかわかりません。
以下、「教養としての昭和史集中講義」(井上寿一、2016年)を参考にさせて頂きました。(前回まではコチラ)
【年表】終戦(1945年)~日米安保(1951年)
1945.8.17 | 鈴木貫太郎内閣→東久邇宮稔彦王内閣 |
1945.10.2 | GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)東京に設置(※1) ※米英ソ中からなる「対日理事会」の諮問を得る必要があった。さらに蘭、豪、印など11か国で構成される「極東委員会」による管理もあった。アメリカにとってこれらが厄介だったので、日本を自陣営に引き込む方向に。 ※ドイツは直接統治であったのに対して日本は間接統治 |
1945.10.9 | 東久邇宮稔彦王内閣→幣原喜重郎(進歩党)内閣(※2) |
1945.11.23 | 財閥解体(※2) |
1945.12.17 | 女性参政権(※2) |
1945.12.22 | 労働組合法(※2) |
1946.1.1 | 天皇の人間宣言 ※ソ連、イギリスらは天皇制自体を否定していたが、アメリカは間接統治を容易にするために残した方が良いと判断。 |
1946.2.13 | GHQが憲法改正案を提示(※3) |
1946.4.10 | 第22回総選挙 →日本自由党が第1党に、幣原内閣総辞職 |
1946.5.3 | 東京裁判開始 |
1946.5.22 | (1ヶ月空白ののち)→吉田茂(日本自由党)内閣 |
1946.10 | 第2次農地改革(※2) ※1945年の「第1次農地改革」はGHQに「やり直し」を命じられる。第2次農地改革により経済の民主化を目指す。 |
1946.11.3 | 日本国憲法公布(※3) (1947.5.3 施行・・・憲法記念日) |
1947.3.31 | 第22回衆議院選挙 →日本社会党第1党 |
1947.4.7 | 労働基準法制定(※2) |
1947.4.20 | 第1回参議院選挙 →日本社会党第1党 |
1947.4.14 | 独占禁止法(※2) →巨大企業が分割 |
1947.5.3 | 日本国憲法施行 |
1947.5.24 | 吉田茂内閣→片山哲(日本社会党)内閣 |
1948.3.10 | 片山哲内閣→芦田均(民主党)内閣 |
1948.6 | 昭和電工事件発覚 |
1948.8.15 | 大韓民国樹立 |
1948.9.9 | 朝鮮民主主義人民共和国設立 |
1948.10.15 | 芦田均内閣→第2次吉田茂(民主自由党)内閣 (~1954.12.10 第5次吉田茂内閣) |
1948.11.12 | 東京裁判判決 |
1949.1.23 | 第24回衆議院総選挙 →民主自由党圧勝、共産党躍進 |
1949.10.1 | 中華人民共和国建国 |
1950.6.25 | 朝鮮戦争 (~1953.7.27) |
1950.8.10 | 警察予備隊設置 (→1952 警察保安隊) (→1954 自衛隊) |
1951.9.8 | サンフランシスコ平和条約 ※冷戦の壁を考えると片面講和でも主権回復の方が大きい 日米安全保障条約 |
(※1)連合国軍の日本管理機構
「GHQ」とは?
GHQとは、「連合国最高司令官総司令部」の略称です。
(Go Home Quicklyではありません。)
最高司令官はアメリカのD.マッカーサーが務めました。
アメリカは日本に勝利しただけあって、対日政策の舵をとる存在に君臨しました。
しかし、同時にソ連やイギリス連邦諸国の言うこともある程度聞かないといけませんでした。
それが、「対日理事会」であり、「極東委員会」です。
「対日理事会」とは?
アメリカ(議長)、イギリス、ソ連、中国の4カ国で構成されたGHQの「諮問機関」です。
第2次大戦で連合国軍が戦ったのは日本だけではありません。
ソ連はドイツとの戦いで最も勇敢に戦ったため、強い発言権がありました。
「極東委員会」とは?
対日理事会の4カ国の他、オランダ、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、インド、フィリピン、など11カ国で構成されました。
(GHQよりも上位機関でした。のち、ビルマ、パキスタンが加わる。)
オーストラリア、ニュージーランドなどイギリス連邦諸国は日本の侵攻を受けたため、ソ連以上に日本を警戒していました。
イギリスはこうした声から、ソ連とともに日本の天皇制に反対します。
しかし、最終的にアメリカはソ連、イギリスに配慮しつつも天皇制があった方が統治しやすいと考え「象徴天皇制」を敷くという結論に至りました。
(※2)戦後の「五大改革」とは?
1945年10月、幣原首相に指令が出ました。
①婦人解放、②労働者の団結権の保障、③教育の自由主義化、④圧政的諸制度の廃止、⑤経済の民主化などです。
一見、良いことずくめのような気がしますが、こうした「民主化」を行うとどうなるかというと、日本は「弱くなる」のです。
こうしてアメリカは「民主化」と「非軍事国家化」を進めました。
(とはいえ、こうした民主化の動きは戦中に下地ができておりました。国家の名のもとに資本家も妥協せざるを得ませんでした。)
(※3)日本国憲法をめぐって
新憲法は最初に日本側が作成したものは大日本帝国憲法に類似したものでした。
(知識層は大日本帝国憲法でも運用を誤らなければ民主化は可能と判断しておりました。)
しかし、これでは民主化が不十分と判断したGHQが改正案を提示。
そのため、新憲法を「押し付け憲法」だ、とする考えが生まれます。
憲法の話はそれだけで1冊できてしまうような話ですので、他書も是非。
日本の「保守」と「革新」は「ねじれている」
しかし、新憲法を「押し付け憲法」と考えますと、保守派は本来「反米」のはずです。
逆に、「革新・リベラル」は、「アメリカの押し付け憲法」の改正を目指す側を非難している有様で、「アメリカの利害が反映された」憲法を守ろうとしております。
つまり、
「改憲したいが親米」の保守と、
「護憲だけど反米」の革新、
という「ねじれた対立関係」が生じているのが現代です。
どうすれば良いのか?
★冷戦構造は崩壊したことから、そろそろ「対米自立の保守」が出てきてもいいのではないのか、というのが著者の御意見。
★そして、保守もリベラルも、本来はどちらもサイレントマジョリティーである「国民」を説得、納得させるべきでしょう。
※「サイレントマジョリティー」である国民とは、すなわち、「日本は平和憲法があるのに日米安全保障条約があるのはおかしい」と考えながらも、「平和憲法も日米同盟もどちらも必要と考える」層。彼らは「押し付け憲法でも従属国でも経済が発展したのだからそれで良い」と肯定しており、憲法改正にも安保破棄にも消極的。
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ただ、戦後史は何と言ってもこちら↓。