こんにちは。
今回ご紹介しますのは、「日本人論の危険なあやまちー文化ステレオタイプの誘惑と罠」(2019年)。
著者は認知心理学、社会心理学を専門にされている東京大学名誉教授です。
類似の書籍として、山岸俊男先生の「日本の安心はなぜ消えたのか」とかぶる点もございましたが、
本書で特に驚いたことは「日本的企業論」についてです。
あなたの考えている「日本的企業論」は正しいか?
日本企業は「年功賃金」、「終身雇用」、「企業別組合」が「三種の神器」となっているそうですが、
1)「年功賃金」は、実はアメリカと同じで、いずれも50歳で頭打ち。
2)「終身雇用」は、日本が特殊なのではなく、アメリカの転職率の高さが特殊なだけ。アメリカ以外の国はそれほど日本と変わりない。
3)「企業別組合」に相当するものとしてアメリカでは「産業別組合」があり、ないわけではない。
とのことです。
これはちょっと意外でした。
個性的な日本人なんてヤマほどいる
また、「日本人=集団主義、没個性」みたいな風潮もありますが、
これは、 明治時代に日本に来た外国人たちが日本人を「個性がない」と評したことから来ているそうです。
(単に、英語がしゃべれなかっただけでは?・・・)
この「日本人論」を喧伝したのは、「パーシバル・ローウェル」という金持ち。
この人は、「日本人には恋愛感情がない」など、現代の感覚で言うとトンチンカンなことも言っています。
ほか、「火星の縞模様は火星人が作った」とか。
同じアメリカ人でも源氏物語研究者が書けば全く違った日本人論が最初に紹介されていたであろうに・・・と著者は嘆いております。
しかし、本当に困るのは、こういう人によって植え付けられた「先入観」。
ちょっと昔は「サッカーで日本人がゴールをとれないのは日本人が個性がないから」なんて言われ方もされていましたが、
これは「日本人が個性がないから」ではないですよね。
(そもそもゴールを決めることって難しいことと、そこまでの技術がまだ無かったからでしょう。)
また、「欧米人は個人主義、日本人は集団主義、というのは大いなる幻想」とも書かれおりますが、日本史に出てくる登場人物を知れば知るほど、幻想だと思います。
バカモノっ!!
いずれにしても、日本人が日本人自身をステレオタイプに嵌め込むことは、自らの可能性であったり、真の姿、人間らしさを消してしまいますので、これを読んだ人は辞めましょう。
また、「高度成長期」は、「日本人が集団主義だから」成し得たわけではなく、当時の国際情勢がもたらしたものでしょう。
この本を読むと、日本人の特長は『同質性』ではないことがよくわかりました。
よって、もし他人と意見が違っても、全然、それを恥じることはありません!
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