こんにちは。
今回ご紹介するのは「戦争とファシズムの時代へ」より
「右翼運動の系譜」です。
「ネトウヨ」という言葉が「ネット右翼」という言葉を指していると知った時は驚きました。
しかし、「ネトウヨ」って、どうも定義がハッキリしていない様子です。
ネットで盛んに「排外主義」を書き込む傾向があるとのことですが、
「右翼」ってそれだけではないんですよね・・・。
「右翼」という言葉を使う前に、ちゃんと
「日本右翼の特徴」
「右翼運動の系譜」
というものは理解しておいた方が良いでしょう。
「右翼思想」に含まれるもの
まず、「右翼思想」と言っても、その内容は多岐に渡り、一言では言い表せません。
本書によりますと、右翼思想には、
国家主義、国粋主義、民族主義、農本主義、アジア主義などさまざまなものが含まれる
そうです。
ゆっくり読みたいと思います。
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日本右翼の特徴
そして、日本右翼の特徴は、
①天皇・国家への絶対的忠誠
②共産主義・社会主義への憎悪
③全体主義・排外主義・伝統主義的性格
④理論より情念の優越と行動の重視
⑤一人一党的または少数精鋭主義
だそうです。(堀幸雄「最新右翼辞典」による)
②~④は天皇中心の国家観に収斂することが多いので、
「天皇を中心とする国のあり方を軸とする日本の国柄を尊重して国家改造を目指す運動」
を広く右翼運動ととらえることが多いそうです。
となると維新の志士たちは全員、「右翼」ってか。
反資本主義の立場から社会主義的な経済制度を求める「国家社会主義」、
農村の社会・経済制度を国家の根幹と位置づける「農本主義」などが派生してくるんですな。
頭山満の「玄洋社」
続いて日本の右翼運動の系譜を見ていきたいと思います。
まず、日本の本格的な右翼運動は頭山満の「玄洋社」が嚆矢と言われます。
しかし、頭山の運動は、
中国やインドの革命運動を支援したり、
民権運動家の中江兆民、
民本主義者の吉野作造、
無政府主義者の大杉栄、
政党政治家の犬養毅と交流
するなど、
左右を問わない人脈をもって「下から」近代国家の建設に取り組もうとするものでした。
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満川亀太郎を中心に1918年に結成された老壮会も、玄洋社に近い性格を持っています。
1919年の「猶存社」
そして、
1919年の猶存社の結成
により、
右翼運動が左翼運動やリベラリズムと決別
しました。(※猶存社・・・満川亀太郎と大川周明により結成。)
彼らは新しいリーダーとして、上海で革命運動に参加していた北一輝を日本に呼び戻しました。
そして、北の「国家改造原理大綱」を配布しながら国家社会主義の実現を目指すのです。
若い軍人さんなどが信者です。
さて、日本はこのままで良いのでしょうか?
私は、もう一度、「維新」を行なう必要はあると思います。
しかし、満川、大川が北と対立し、1923年解散。
大川は満川、西田税、安岡正篤らとともに、1925年2月「行地社」を結成します。
(※翌年、さらに内部分裂がおき、西田は北と結んで脱退、安岡は金鶏学院を設立。)
1930年代に入ると、
中国情勢の変化、
ロンドン海軍軍縮条約からの統帥権干犯問題、
昭和恐慌の衝撃
などで昭和維新のムードも高まります。
運動家たちは軍部と結んで国家改造を目指します。
二二六事件でも、私が直接何か手を下したというのですかね・・・
運動の急進化と暗殺事件
そして、1931年、運動は急進化します。
大川周明、西田税、血盟団の井上日召らは、軍部の一部と結んで、政党内閣制を打倒しようと
三月事件、
十月事件、
血盟団事件、
五一五事件
などを引き起こすのです。
その後の動きはコチラで→【五一五事件】
ちなみに西田税は1932年の五一五事件のときは「裏切った」と言われて急進派に狙われ、瀕死の重傷を負います。
ソ連の活動にも疑問を抱きつつあった時期でしょう。
左翼にしても、右翼にしても、国家を良くしようという気持ちは変わらなかったと思います。
【まとめ】
<日本右翼の特徴>
反共・排外的。伝統主義的。
天皇を中心とする国家を理想とするなど。
<右翼運動の系譜>
国家改造を行なうという点では右翼も左翼も同じであったが、1919年の猶存社結成以降、右翼と左翼は決別する。