
学校では「三大文化」と「三大改革」だけやって、「すっとばされる」時代と言われているが、江戸中期はまるで明治に備えたかのような「熟成の時代」であった。
この時期の試行錯誤が、明治以降の発展につながった、という。
簡単に読めるので、この時代が苦手な人はオススメ。
以下、読書メモ。
★江戸中期とは、4代将軍家綱~12代家慶まで。
とりえあず、各将軍の時代についての概略を。
- ④家綱(1651-80)
由井正雪の乱(1651)、殉死の禁止(1663)シャクシャインの戦い(1669) - ⑤綱吉(1680-1709)
武家諸法度の大改訂(1683)、生類憐みの令(1687)、唐人屋敷建設(1689) - ⑥家宣(1709-12)
正徳の治…新井白石、間部詮房。生類憐みの令撤廃、通貨の改良など - ⑦家継(1713-16)
正徳新令(1715)。この頃、人口3000万人で頭打ち。
- ⑧吉宗(1716-45)
享保の改革。
- ⑨家重(1745-60)
宝暦治水事件(1755)薩摩藩による木曽川の工事。
- ⑩家治(1760-86)
田沼意次の活躍 - ⑪家斉(1787-1837)
田沼意次失脚を受け、松平定信による寛政の改革開始(~1793)。ラスクマン来航(1792)、レザノフ来航(1804)、フェートン号事件(1808)、異国船打払い例(1825)
- ⑫家慶(1837-53)
大塩平八郎の乱(1837)、蛮社の獄(1839)、水野忠邦による天保の改革(1841~43)
江戸時代各論↓↓
https://nihonshi.me/category/kakuron/edo-kakuron/
★なぜ「鎖国」を行った?
- 「征夷大将軍」を受けているという政権の威信を守るため
- オランダの思惑(それまでポルトガルが最大の貿易相手であったがキリスト教の危うさを説いて出し抜く)
- 対抗馬の出現を阻む
もっとも、「鎖国」と言う言葉は適切ではないかも知れないが。
オランダの思惑
について、当時、ざっくり言うと、スペイン・ポルトガルに新興国のオランダ・イギリスが向かう状態。
老中酒井忠勝が
「日本から東南アジアへ朱印船を派遣することは可能か?」
と質問したとき、オランダは
「スペインとポルトガルが手を組み朱印船を襲撃するであろう」
と答えたため朱印船貿易を断念した。
★外交の歴史
- 1669(4代家綱)シャクシャインの戦い(アイヌは松前藩に従属)
- 1689(5代綱吉)唐人屋敷の建設(台湾で鄭成功末裔降伏を受け、1661海禁から1683展海令となり唐船増加を受けて)
- 1715(7代家継)正徳新令(オランダ船、唐船に入国制限および抜け荷の取り締まり強化)
- 1720(8代吉宗)唐船打払い例
- 1786(10代家治)はじめて幕臣を樺太に送る
- 1792(11代家斉)ラスクマン来航(ロシアは当時エカテリーナ2世)→長崎への入港許可証
- 1799(11代家斉)東蝦夷を直轄とする
- 1802(11代家斉)蝦夷奉行の設置
- 1804(11代家斉)レザノフ来航(ロシアはアレクサンドル1世)→半年待たせて国書受け取り拒否
- 1806(11代家斉)レザノフ家来のフヴォストフによる樺太択捉襲撃
- 1807(11代家斉)蝦夷全域を直轄に
- 1808(11代家斉)間宮林蔵樺太探検
- 1808(11代家斉)フェートン号事件(オランダの国旗を掲げたイギリス船による略奪。当時、ナポレオン戦争中)
- 1811(11代家斉)ロシア船出没、ゴロウニン以下8人捕縛。互いの拘束者を交換。
- 1825(11代家斉)異国船打払い例
- 1837(11代家斉)アメリカのモリソン号が浦賀と鹿児島で砲撃を受ける 【コチラも】
- 1840(12代家慶)アヘン戦争
- 1842(12代家慶)天保薪水給与令
★時代の変化を受ける武士
この時代、最も変化を余儀なくされたのは武士か。武士にとっては生きにくい時代となった。
戦争がなくなり、自分たちの存在意義の示し方がわからなかった。「赤穂事件」(1702)が唯一脚光を浴びた。
忠義の対象も主君→御家に変化(1663殉死の禁止)。
御家騒動は頻発。
熊沢蕃山(陽明学):武士を都会の消費生活から解放して領地で武士本来の姿となるようなど訴え→1687禁錮。
★経済の失敗
経済の中心は米から金銭に。しかし、なお重農主義を続けているため給与は増えないのに物価が上がり困窮。
★農民の生活
職業選択、移動の自由が(あまり)ないために、それぞれの地域社会でうまくやっていくほかはなかった。
収入を増やす手段も夜間か農閑期に内職。
→日本人は「必要に迫られて」働き者に??。
地球規模で平均気温低下+火山の噴火→飢饉→一揆
天保の飢饉(1833~)→大塩平八郎の乱(1837)
★諸藩の改革
成功した諸藩に共通するのは、土地改革や特産品の徹底管理、従来の家格、門閥にとらわれない人材の抜擢
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