こんにちは。
今回ご紹介しますのは、『日本人の本質』(中西輝政、2011年、日本文芸社)です。
ちょっと長くなってしまいましたので、前編・後編に分けたいと思います。
著者の中西輝政先生は、アメリカの機密資料「ヴェノナ文書」の研究者としても知られております。
中西先生は、留学先で占領下に持ち去られたもの(つまり日本では読めない明治大正期に書かれた書物)を読んで、日本の真の国民性に気づかされたと言います。
さっそく以下、読書メモ&雑感です。
第1部:文明
日本の文明は、他の世界主要文明と異なり、
「1つの国で1つの文明をなしている」
という世界に類例のないケースだそうです。
これは、「文明の衝突」を書いたハンチントン教授による分類ですが、
世界の7大文明は、①西欧キリスト教文明 ②ロシア正教文明 ③イスラム文明 ④ヒンズー文明 ⑤中華文明 ⑥日本文明 ⑦中南米ラテン・アメリカ文明であり、
日本文明が、1つの国のみで成立している点を、日本人はもっと認識すべき、と提言しております。
大陸の人たちとは根幹が著しく異なるんですよね…。
むしろ南洋諸島の人たちに近い、という方もいます。
むしろそれは強みでもあるかも知れませんね。
そして、日本文明の特徴としましては、非常に深い意味での「庶民性」だそうです。
たとえば仏教。
仏教は日本に入ると、「日本仏教」という独自の形態に変化しました。
知識人たちが「時代の要請」によってもたらしたものでも、結局、「文明としての日本」に合わないものであればためらいなく変化させてしまうのです。
これは日本の神に対する考えからも来ております。
西洋にとっての神とは「奇跡を行い給う外部の存在」で、
時に科学と衝突するために、執拗に科学研究に取り組んだ経緯がありますが、
日本人にとって神は、外部にあるのではなく、「自らの心に宿る」というものなので、
自分の心を清々しく保つことを重視します。戒律もありません。
古いものを守る一方で、新しいものも積極的に受け入れる、それでいて文明の根幹が変わることがない、というのが日本文明の特徴だそうです。
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