こんにちは。
今回ご紹介しますのは、『日本は誰と戦ったのか』(江崎道朗、2017年、KKベストセラーズ)です。
『日本は誰と戦ったのか』(江崎道朗、2017年、KKベストセラーズ)
太平洋戦争は、「卑劣なだまし討ちを行った日本軍が悪い」という説から始まり、その後、「ルーズベルト悪玉論」、「日米両国とも国益を追求した結果論」を経て、現在、「スターリン工作説」というものが唱えられるようになりました。
「スターリン工作説」というものはどういうものかと言いますと、「スターリンの密命を帯びた工作員たちが、日米開戦を引き起こした」という説です。
いやいや、そんなスパイ映画のようなことが現実にあるかいな、と思うかも知れませんが、知れば知るほど、「日米両国の政治の中枢に工作員が紛れ込んでいた」という衝撃の事実に驚かされることになります。
なんせ近衛文麿の勉強会に中国問題の権威として参加していた尾崎秀実や、「ハル・ノート」の原案を書いたハリー・デクスター・ホワイト、蒋介石の顧問だったオーウェン・ラティモアなどが実際に工作員だったりするわけですから…。
さらに、ソ連工作員の暗躍を示す根拠となるものの1つは、1995年に公開された「VENNONA文書」でしょう。
これは大戦期にアメリカ国内で活動していたソ連工作員が、モスクワ本部と行っていた通信のやりとりをアメリカが傍受したもので、米英の解読チームによって膨大な量の解読が済んだ結果、公表されたものです。
その中で、彼らソ連工作員は、「徹底的に日米の対立を煽る」という任務を持っていたことが明らかになりました。
この考えはレーニンが生きていた1920年には既に提唱されており、スターリンに引き継がれたものです。
「日本軍をアメリカ軍と戦わせた後、日本軍を満州・中国から撤退させ、軍事的空白が生まれた隙に共産主義国家を樹立させる」という考えでもあります。
(そうすれば、日本軍と戦う必要なく、満州・中国を共産勢力に置くことができますものね。)
もっとも、日米開戦理由には、「ルーズベルトの強い意向」、「チャーチル英首相による対米工作」、「蒋介石国民党による対米工作」など様々なものも含まれますので、コミンテルンによる工作「だけ」で開戦したわけではないということは強調されておりますが、
今までの歴史学は「ソ連・コミンテルン」というものの存在をあまりに過小評価していたということで、「ソ連・コミンテルン」の動きを取り入れた新たな史観を提唱しております。
以下、目次。
序章:日米開戦はスターリンの工作だった
第1章:日米を開戦に追い込んだゾルゲ
第2章:「雪」作戦発動
第3章:オーウェン・ラティモアの暗躍
第4章:乗っ取られたホワイトハウス
第5章:ヤルタ会談を仕切ったアルジャー・ヒス
第6章:握り潰された「反ソ」報告書
第7章:ソ連の対日参戦まで日本を降伏させるな
第8章:ソ連の対米秘密工作は隠蔽されてきた
となっております。
今までの太平洋戦争観に疑問をお持ちの方は、是非。
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京都駅構内で買った記憶がありますが、江崎先生の前作も非常にオススメです。