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☞【縄文晩期、東北地方は人口の半分を占めていた?】『人口から読む日本の歴史』(鬼頭宏、2000年)

こんにちは。

今回ご紹介しますのは、「縄文時代の東北地方の人口」についてです。

数ヶ月前のことです。

ふと目にした天声人語に、「縄文時代、東北地方で日本の人口の半分を占めていた」という記事がありました。

「え?それホント?」

と思って、記事中に出典として紹介されていた「人口から読む日本の歴史」(鬼頭宏、2000年、講談社)を購入しました。

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遺跡数などから人口を推測

そもそも、どうやって人口を推測するんだ?と思いましたが、

1978年に発表された小山修三先生による「遺跡数など」による人口推測がベースとなっているようです。

この研究手法にはもちろん、「正気の沙汰ではない」など反対意見もあったようですが、

それから40年以上経過しても、それ以上の研究成果は生まれていないようです。

縄文時代の地方別推定人口

まず、wikipedia【コチラ】にも引用されておりますが、縄文時代の地方別推定人口表をご紹介します。

 東北関東中部近畿中国四国九州合計
縄文早期(8100年前)2.09.75.60.30.40.21.920.1
縄文前期(5200年前)19.242.834.51.71.30.45.6105.5
縄文中期(4300年前)46.795.4109.72.81.20.25.3261.3
縄文後期(3300年前)43.851.645.34.42.42.710.1160.3
縄文晩期(2900年前)39.57.717.72.12.00.56.375.8
弥生時代(1800年前)33.499.0160.2108.358.830.1105.1594.9
(単位:千人)

なるほど。

縄文後期から晩期において、関東・中部地方における人口が激減したために、相対的に東北地方の人口割合が増えた、というわけですね。

この時代、何が起きたのでしょうか?

縄文後期、寒冷化による人口減少が生じた

その理由が、「気候寒冷化」と考えられております。

この時期は世界的な寒冷化の時期でもありました。

近年の遺伝子解析の結果によっても、寒冷化による人口減少を示すデータが発表されております。

https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20190625_01/index.html

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20110907/283253/?P=1

稲作が人口増加をもたらした

ところが、弥生時代ともなると、一転して大幅な人口増加に転じます。

これには、西日本で行われていた芋、豆、雑穀など焼畑農耕の影響もありますが、

何と言っても稲作ですね。

それにしても、縄文晩期から弥生時代までの間だけで1000年とか、

古代の人類の途方も無い営みを考えますね…

興味のある方は是非、本書を。

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感想(2件)
縄文時代研究はきっと面白い…のですが、「キリがない」のでほどほどに。