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☞【初心、忘るべからず!】『座右の世阿弥』(齋藤孝、2020年、光文社新書)

こんにちは。

今回ご紹介しますのは、「座右の世阿弥」(齋藤孝、2020年)です。

驚くことが多々ありました。

まずは著者の齋藤孝先生。

ご存じの方も多いと思いますが、本を書けばベストセラー、テレビには引っ張りだこ。

もうだいぶ長いこと第一線で活躍されている印象もあり、さぞ若い頃から頭角を現していた天才肌の先生なのかと思っておりましたが、

なんと、「20代後半から5年間、誰からも見向きもされない研究をしていた」、とのことです。

かなり意外でした。

自嘲気味に「誰からも見向きもされない研究などしてはいけない」というようなことを書かれているのですが、

個人的には、この5年間があったからこそ斎藤先生の屋台骨が完成したのではないのかな、とは思います。

「誰からも見向きもされない研究などしてはいけない」と言われつつも、斎藤先生には、ただ時流を追っているだけというようなイメージは全く感じませんしね。

斎藤先生でも日の目を見ない時期があったので、いわんや10代、20代の皆さんには、ちょっとやそっとのことで音をあげず、目標に向かって頑張って欲しいと思います。

さて、もう1点。

「初心忘るべからず」

という言葉、世阿弥が出典だったんですね!

そして、この言葉には「つづき」があるのです!!

『花鏡』より。(書き下し文)

当流に、万能一徳の一句あり。
初心忘るべからず

この句、三箇条の口伝あり。
是非の初心忘るべからず
時々の初心忘るべからず
老後の初心忘るべからず

この三、よくよく口伝すべし。

つまり、忘れてはならない「初心」には、

自分が未熟だった時代という意味での「初心」、

それぞれの人生の段階における「初心」、

老境に入っても感じることができる、その年齢ならではの「初心」。

の3種類があるというのです。

ついつい、「初心忘るべからず」は、一番最初の気持ちにしか使えないと思っていたのですが、

「時々」も使えるし、「老後」にも使えるという、

人生を通じてのアドバイスだったのですね。

たしかに、そうした気持ちで過ごせば、常に向上心を持ち続けて前向きに生きることができる、と感じました。

世阿弥元清さんの日本史的ポイント

さて、その世阿弥さんですが、日本史的に覚えておきたい点は、

足利義満の寵愛を受けた(足利義満と同時代人)。
②父親の名前は観阿弥
③「二条良基」という当代きっての知識人を家庭教師にあてがわれた。
④6代将軍足利義教により佐渡に流された。(1434年)
⑤「風姿花伝(1402年)などを残す。

ということでしょうか。

ちなみに、足利義満(1358-1408)と世阿弥(1363-1443)の年齢差は5歳。

世阿弥が12歳のときに、当時17歳だった将軍義満に見初められました。(1374 or 1375年)

そして、義満は「二条良基」(1320-1388)を家庭教師にします。

「二条良基」は「連歌」の大成者でもあり、「菟玖波集」を選んだことでも知られます。

世阿弥は二条良基から学んだことも多かったことでしょう。

そんな世阿弥さんですが、晩年は佐渡ヶ島に流されてしまいます。

義満と不仲であった義持の時代…ではなく、義教の時代(在1429-1441)のことです。

さぞ、悔しかったことでしょうが、そこでも著書を残しております。

一生学ぶことの大切さを身を以て実践された点は尊敬に値しますね。

こんな言葉も

その他、「秘すれば花なり」、「序・破・急」、「離見の見」、「男時あれば女時あり」などなど、唸る言葉が多々ありました。

「座右の世阿弥」、一家に一冊、オススメです。

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世阿弥自身が必ずしも「大成功者」とはいえない点が、共感を呼ぶところでもあります。