こんにちは。
今回ご紹介しますのは、「総力戦のなかの日本政治」(源川真希、2017年、吉川弘文館):「日本近代の歴史」シリーズの最終巻(6巻)です。
このシリーズの特徴ですが、「事実」を淡々と書いております。
「東条英機はすごかった!!」とかセンセーショナルなタイトルがつくと、人目を引きやすいでしょうが、そういうことはありません。
また戦争の局面で「誰々が大活躍した」、「こんなスゴイことがあったんだ」、あるいは「こうにすれば勝てた!」、「こいつのせいで負けた!」みたいなことも書かれておりません。
そういう面で、不満を持たれる方もいらっしゃるかも知れませんが、そういう本は多くの書が出されておりますので、逆にこうした中立的な本は貴重かと思います。
また、テーマが「日本政治」であるため、その用語含めてなかなか読み進めることが難解な点もありました…
しかし、「社会改革構想の立案時は戦争を想定していなかったものの、戦時目的に読み替えられていった」ということなど、思わず膝を打つような、新たに気付かされた点も多々ありました。
それと、これは歴史学者でないとわかりにくいと思いますが、1つの事例の評価が時代とともに、どう変遷していったのかについても書かれている箇所があり、大変、参考になりました。
非常に書くことが多く、1冊にすることが大変だったかと思われますが、やはりこの「吉川弘文館 日本近代の歴史シリーズ」は買っておいて良かったと思います。
(※ただ、本書の前に、「⑤戦争とファシズムの時代へ」を先に読んだ方が良いと思います。)
目次を記します。
プロローグ:総力戦のなかの日本政治をどう描くか
1.日中全面戦争の開始
2.泥沼化する中国前線
3.世界大戦の勃発と日本政治の再編
4.日米開戦
5.「大東亜共栄圏」の実態と戦争のなかの国民
6.大日本帝国の崩壊と戦後の再出発
エピローグ:総力戦の時代とは何であったか
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