こんにちは。
今回ご紹介しますのは、清水克行先生の「戦国大名と分国法」(2018年)です。

職場や家庭、コミュニティなどで「ルール」作りに迫られている方は必見でしょうか。
「戦国時代の大名」というとあたかも強権を発揮していたようなイメージがあるかも知れませんが、
実際は、家臣どうしが勝手にケンカしたり、大名の言うことを聞かなかったりしと、現代人と(?)さほど変わりありません。
一方で、家臣たちもわがままな命令を下す大名がいたりして、こちらもまたうんざりしていたりしていました。
(これもまた現代人とさほど変わりありませんねー)
そうしたことで、各地で「分国法」が成立しました。

家臣への愚痴が長々と書かれています。
本人にとっては真剣なんでしょうけど妙に生々しいのが面白いです。
この時期における「法の意義」としましては、
1)自力救済を防ぐ
(自力救済は私闘につながる。中世の私闘は家々を巻き込んで大騒動に発展する恐れがあった)
2)大名権力の絶対化
(誰のもとに統治されているのかをハッキリさせる)
3)公共性の体現
(ルールがないと、再び「マイルール」が横行する)
4)既存の法の再編
(慣習の明文化)
とのことです。
(僕も実際に上記4つを意識しながら「ルール」を作ってみたところ、想像していた以上に効果テキメンでした・・・。)
もちろん、ルール作りなどしなくてもうまくいく社会が理想かも知れないでしょうが、そんなのは「きれいごと」に過ぎないでしょうかね。
代表的な「分国法」
塵芥集(じんかいしゅう) | 伊達稙宗(出羽、陸奥) | 1536 |
早雲寺殿廿一箇条 | 北条早雲(伊豆、相模) | 不明 |
甲州法度之次第 | 武田信玄(甲斐) | 1547~54 |
今川仮名目録(および追加) | 今川氏親・義元(駿河、遠江) | 1526、53 |
朝倉孝景条々 (朝倉敏景十七箇条) | 朝倉孝景(=敏景)(越前) | 1471~81 |
長宗我部氏掟書 | 長宗我部元親・盛親(土佐) | 1596 |
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【追加】「大名」というより「国王」、「分国」というより「地域国家」
「分裂から統一へ」、「戦国大名と分国法」より。
★分国法の制定には、将軍家を含めいかなる上位者をも戴かない地域国家の「王」としての気概が感じられる。
★戦国時代において、大名と言うより「国王」。分国というより「地域国家」であろう。
★(おまけ)山伏はどの国家にも属さないことで、この時代におけるメッセンジャーの役割を果たした。唐人も同じ理由で選ばれることもあった。