~只今、全面改訂中~

☞【陸軍の暗号解読能力はトップクラスだったが…】『日本人はなぜ戦争へと向かったのか(外交・陸軍編)』

こんにちは。

今回ご紹介しますのは、「昭和陸軍の暗号解読能力」についてです。

「日本の攻撃は全てアメリカに傍受されていた」「日本は情報戦で負けていた」…と思っている方はいないでしょうか。

実は日本(陸軍)の「暗号解読能力」は世界トップクラスだった…そうです。

ただ、問題は「それを生かすことができなかった」という点なのですが…。

以下、『日本人はなぜ戦争へと向かったのか』(NHK取材班、2011年)「外交・陸軍編」の、【外交に活かせなかった陸軍暗号情報】(小谷賢先生)を参考にさせて頂きます。

【日本の暗号解読能力】

各国とも暗号解読は行っていました。

ただ、「暗号解読に関わったものは死刑にされる」という噂が戦後に流れたため、あらゆる証拠が消されてしまいました。

2000年頃になってようやく資料が出始めたのですが、これまで言われていたような「弱い」ものではなかったことが判明しました。

その中でも日本陸軍の暗号解読能力は非常に高く、イギリスでも解けなかったアメリカの複雑な暗号(ストリップ暗号)を解いていたと言われます。

日本陸軍は、最初はソ連、中国を解読していましたが、次第にアメリカ、イギリス、フランス、ドイツも解けるようになっていったそうです。

ヤルタ密約の情報をつかんだ小野寺信少将も陸軍です。

【共有されない情報】

陸軍は国民党の外交暗号はだいたい解いていたと言います。

一方、外務省の暗号解読能力はそれほど高くありませんでした。

日露戦争時には福島安正を長とする「海外情報編纂委員会」というのがあり、ここで軍部の情報を統合して方針を立てていたりしましたが、昭和になると軍部と外務省の縦割りが進み、情報共有ができなくなっていた、というのが問題でしょう。

陸軍と外務省の対立、というとどうしても出てくるのが日中戦争拡大時における広田弘毅(外相)と多田駿(陸軍)の争い。なぜか陸軍が戦争反対、外相がイケイケ。

【情報の集め方】

ただ、陸軍は軍隊組織ですから、「日本に抵抗する中国像」のようなものばかり集めてしまった、という点は問題点でしょう。

【首相には情報が入らない】

それと「首相に情報が入らない」という点も問題ですね。

1933年以降、外務省は国民党の親日派と提携路線を進めましたが、現地軍は国民党を信用しておりませんでした。

そして、驚くことに首相には情報が入らないといった状態です。

(あれ、なんとなくコロナ禍でも聞いたようなあるパターンですが…)

東条英機はミッドウェイの敗戦を知らなかった?というのもまんざらウソではないのかな。

【組織間対立】

組織間対立といえば、陸軍と海軍の対立が周知の如くと思います。

これにつきましては、

「イギリスは平時から横のつながりがあった。追及すれば教育に遡る。イギリスのエリートは全寮制のパブリックスクールを出てからケンブリッジかオックスフォードに進み、同じ釜の飯を食べて軍人や政治家、官僚になる。日本は士官学校→陸軍大学校、かたや兵学校→海軍大学校なので、陸海軍が協力できる状況にない。

なるほど。

明治維新期は「同じ釜の飯」だったのでしょうがね…

医学部も医者も最初の1年くらいは全寮制にしたら…なんて、思ってしまう時もありますが。

【三国同盟締結】

三国同盟締結時を主導したのは松岡をはじめとする外務省でしたが、

「三国同盟締結時は“自分に都合の良い情報しか集めない”、というレベルを超えて“思考停止”」

この考えには激しく同意です。

大島浩、白鳥敏夫みたいのが重要なポジションにいる時点で、やはりおかしい。

書籍はコチラ(小谷先生の著書含む)

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