こんにちは。
今回ご紹介しますのは、「東条英機」です。
近年、新書が出ましたね・・・。
しかし、今回は「昭和陸海軍の失敗」(2007年、座談会)をベースに手短に紹介したいと思います。
ここに書かれているような「東条」像が一般的に流布されているものでしょうか、とは思います。
【東条英機】
★真面目で一生懸命。ただ、一国の指導者として適切かは疑問。
★敵とみなした相手はとことん左遷。石原莞爾、山下奉之らがその代表。のち、武藤章、田中新一らも左遷。
★そして、精神論。
【年表】東条英機(1884~1948)
1884 | 東京都にて出生。三男であったが長男次男は他界。(※1) |
1905 | 陸軍士官学校卒業。(17期) |
1912 | 二浪の末、陸大に入学。東条のために小畑、永田らが勉強を教える。(※2) |
1915 | 陸大卒業。(27期) |
1921 | ドイツ駐在時代にバーデンバーデンの密約。 |
1929 | 一夕会に参加 |
1935 | 関東軍時代(~1938) |
1938 | 陸軍次官時代(※3) |
1940 | 第2次、第3次近衛内閣において陸軍大臣。 (※4) |
1941 | 現役軍人のまま首相に就任。(~1944)(※5) |
1942 | ミッドウェー海戦の敗戦を知らなかった?(※6) |
1943 | 大東亜会議主催。(※7) |
1944 | 一時は三職を兼ねるも辞任。(※8) |
1945 | 敗戦後、拳銃自殺未遂。(※9) |
1948 | 死刑。64歳。(※10) |
(※1)南部藩士の家系。
東条家の仕えた南部藩は戊辰戦争で佐幕側でした。
父は陸軍歩兵中尉(後に陸軍中将)東條英教であり、陸大(1期)を首席で卒業するも、日露戦争で指揮官失格の烙印をおされてしまいました。
これを「藩閥制度」により出世できなかったと考え、以後、徹底した長州嫌いとなります。
このことが東条の「打倒藩閥」の姿勢につながります。
(※2)真面目で一生懸命
東条は天才肌ではなく、「真面目で一生懸命」。
部下に対しても思いやりがあり、日本人の1つの模範でした。
連隊長時代には夜にゴミ箱をあさり、兵隊の食事状況を把握するなどもしていました。
(これはプラス面でもあり、マイナス面でもあったと思います。)
(※3)二二六事件後の粛清人事で昇進
梅津美治郎の推薦により陸軍次官に。
二二六事件以後の粛清人事の影響で序列が80番くらい上がりました。
池田成彬蔵相に「軍需工業がもうけるとは何事だ!」など、殖産興業のメカニズムを知らない発言もありました。世間知らずで偏狭であった逸話である。
参謀次長の多田駿とは対立を繰り返しました。
また、中国がなかなか降伏しないのは英米ソの支援があるからとして、対米、対ソ戦も検討します。
(※4)高射砲は精神で?
第2次近衛内閣から陸軍大臣となります。
総力戦研究所がアメリカとの戦いをシミュレーションしたところ、「負ける」との判断が出されると、東条は「戦は何が起きるかわからない」とこれを一蹴します。
「高射砲は精神で撃つ」など精神論を掲げました。
(※5)第3次近衛内閣から東条内閣へ
木戸光一の推挙を得て総理大臣に就任しました。
対米協調派の東久邇宮稔彦親王の就任が有力視されていましたが、陸軍を抑えるには陸軍、それも忠誠心の高い東条しかいないと昭和天皇も判断しました。
東条は天皇の意向を受け、一転、対米和平に奔走します。
(※6)ミッドウェー海戦の敗戦を知らなかった?
コチラ。同時代人の証言という点では参考になるかも知れませんが、同時代人だからといって、すべての記憶が正しいとも言い切れず、なお研究が待たれるところでは有ります。
(近年は「知っていた」説が優勢?)
(※7)家父長のように優しく
列強の脅威にさらされているアジア各国首脳を呼び、大東亜会議主催。
「家父長のように優しく」接した、と評判でした。
ただし、戦局は厳しいままでした。
(※8)数々の東条暗殺計画も
1944年2月からは首相、陸相、参謀総長を兼任します。
一方、自分に反対するものをことごとく左遷したため敵も多かったです。
(東条暗殺にあの柔道王、木村政彦が選ばれる、というマンガのような話も)
反東条派の動きも強まり、7月に退陣しました。
(※9)生きて虜囚の辱めを受けず
自分の作った戦陣訓の影響で、虜囚の辱めを受けるくらいなら死ぬしかなかった、と述べたといいます。
しかも、批判が天皇に及ばないよう、自分が全ての批判をかぶるつもりで、あえて一番カッコ悪い役割を演じたという説も・・・どこかで見た。
(※10)東京裁判
悪名高き東京裁判。
ここで東条は理路整然とアメリカの姿勢を糾弾しましたが、田中隆吉らが不利な証言を繰り返します。
(田中は「逮捕されない」と言う確約を得ていた。)
それらによりA級戦犯となり死刑に。
感想
日本史を勉強する前は、「ヒトラー的な独裁者」なのかと思っておりましたが、実情は全く違いました。
「真面目で一生懸命」というのが東条像でしょう。
しかし、「秀才」でこそあれ、「天才」ではなかった。
ここに悲劇があったと思います。
ですので、石原莞爾のような天才を理解することはできず、民主的な議論が十分になされないまま更迭してしまったことなどが残念でなりません。
おそらく平和な世の中であれば、もっとその能力を発揮できたと思います。
元々が悪い人ではないので、余計残念に思います。
※ただ、近年は全く違った東条像が描かれた新書が続出しておりますので、読んでみたいと思います。
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