中継: 「社会が荒れない方がおかしい。」
わかりやすくいうと平安時代とは、「北斗の拳」の世界です。
「平安=雅」とかなんのこっちゃ。
芥川龍之介の『羅生門』も平安時代の話ですし、そもそも「平安」というネーミングは平和を願ってつけられたものです(つまり、平和でなかった)。
774年からの「東北三十八年戦争」が、嵯峨天皇の代で一段落すると、辺境に従事していた有閑騎射(郡司富豪層の子孫)たちが社会に戻ってきました。
社会が荒れない方がおかしいでしょう。
王臣家と主従関係を結んだ有閑弓騎たちと王臣家の関係は「武士団」の原型であり、
王臣家を主人に仰ぐ手間を省いて独自に集団行動したものたちが「群盗」の始まりであった。
さらに、俘囚(帰属した蝦夷)や、禄を失った王臣子孫たちも「群盗」となり、手がつけられない状態となっていきます。
瀬戸内海の海賊は間違いなく王臣子孫、王臣家人だそうです。
すごい世界ですね。
抑え: 「武士は、京を父とし、地方を母とし、地方で受精し、地方を母胎として地方で育った混血種の子たちだ。彼らにとって京と地方はどちらも故郷。」
徳川慶喜の母は天皇家であったことを考えますと、戊辰戦争のときの彼の行動がよくわかります。
これまでの歴史は父系ばかり強調されてきたようにも思えますが、母系ももっと考えねばいけないと思います。
源氏にしても坂上田村麻呂の娘、坂上春子の血をもらっているからこそ我々の知る源氏なのだ。
「混血種」と言う言葉には本来の言葉の意味から考えるとやや違和感を感じるかも知れませんが、武士は京都だけでは生まれず、地方社会に貴姓の血が振り掛けられてこそ発生したものとの結論。
武士は京も地方も均等に重点を置いたという点が、彼らの新しい点です。
もっとも、鎌倉幕府が東国に誕生し、大多数の武士が鎌倉・東国に貼りついて動かない生活を始めると、皮肉にも彼らの強みである混血的なあり方が弱まっていくのですが。
代打: 「宇多には摂関家を潰す気はないし、摂関家は敵ではない。」
「阿衡の紛議」など、教科書や学参などでは宇多天皇と藤原摂関家は対立したように描かれることが多いのですが、本当に天皇家が藤原氏を倒そうと思ったら、天皇家の方が強いのでは?と常々疑問に思っていました。
しかし、この一文を読んで心の痞えがとれました。
宇多天皇にとって、藤原氏は敵ではないし、潰す気はなかったのです。
平将門の乱、藤原純友の乱を共に勝ち切ることで天皇家と藤原氏の関係はより強固なものになっていく。
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