こんにちは。
今回ご紹介しますのは、「山本五十六」。
太平洋戦争を戦った人物として一番有名なのでしょうか。
小学校の時、図書館においてあった全16巻の人物伝の中に近代を代表して山本五十六だけありました。
しかし、勉強を進めてみると、どうも「英雄」とは違うような…。
以下、「昭和陸海軍の失敗」を参考にさせて頂きました。
★「同じ山本でも権兵衛と五十六では肝心な場面を迎えた時は天と地ほどの差があった」(井上成美)
写真はwikipediaより。
略歴
1884 | 新潟県長岡市で出生。長岡藩士の6男。(※1) |
1904 | 海軍兵学校卒業(32期)。入学時は200人中2位の成績。卒業時は11番。(※2) |
1905 | 日露戦争従軍、日本海海戦。(※3) |
1911 | 海軍大学校卒業。 |
1919 | ハーバード大学留学。 |
1924 | 本人の希望で砲術から航空へ転属。 |
1925 | 米国駐在。 |
1929 | ロンドン軍縮会議参加。(※4) |
1930 | 海軍航空本部長。発展に尽力。(※5) |
1934 | ロンドン海軍軍縮会議予備交渉首席。(※6) |
1936 | 永野修身に引き抜かれ海軍次官に。(※7) |
1939 | 連合艦隊司令長官に。(※8) |
1941 | 及川海相に真珠湾攻撃計画を提出。開戦。(※9) |
1942 | ミッドウェーで敗北。(※10) |
1943 | 戦死。(海軍甲事件。)59歳。 |
(※1)父親が56歳だった時の子なので五十六。母親も45歳と高齢出産であった。
(※2)山本の問題点は「口が重いこと」。これは学生時代にも注意されている。実際に、真珠湾攻撃にしても南雲に自分の意思を「言って聞かせる」べきであったのだが、実はこれが苦手だったのではないかとも。越後人の気風でもあるだろうとは同郷の半藤氏。
(※3)足を負傷。腕も危うく失いかけた。
(※4)軍縮に猛反対して周囲を困らせる。しかし、「艦隊派」とみられ出世の糸口にもなる。ただ、山本本人は艦隊派というよりは「航空主兵論」者。
(※5)飛行機の量産化を進めるなど有能な行政官であった。本来は司令長官より海相の方が似合っていたであろう。一方、精神論者としての一面も。
(※6)海軍を辞めようかと思うほど消耗。同時期の大角人事で堀悌吉が左遷されたこともショックの1つ。
(※7)三国同盟などについて新聞記者などへの応対を一手に引き受ける。人気の原因ともなるが、殺害予告も受ける。
(※8)そうでもしないと三国同盟推進論者に暗殺されていたであろうと言うくらい、海軍次官時代は標的となっていた。もっとも、連合艦隊司令長官としては、近衛に「半年や一年は暴れてみせます」と言わずに、はっきりと「できない」と言うべきであったと井上成美。本来、戦争は避けたかったが、日本軍に機動部隊と言う強力な艦隊があったばかりに、「半年や1年は」と言ってしまったのではないか。ガトリング砲をもって官軍と戦った郷里の河合継之助と似ているのではないか。
(※9)南雲に第二撃を命じなかったことが明らかなミス。ここ一番でいつも甘い。日本海海戦で秋山参謀が七段構えの策を立案していたのとは大違い。「奇襲が奇跡的に成功したからサッと帰ろう」では中途半端。
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(※10)ただ、自分に責任があるとは思っていなかったようだ。命からがら逃げかえった南雲が「もう1回チャンスをくれ」と言うと、「よかろう」と言う。ミッドウェーは明らかに失敗。作戦実行前に数々の反論があっても、「奇襲できれば負けない」と言ってのけた。そして敗戦の情報は隠蔽された。
♨山本五十六とその後を継いだ古賀峯一が用兵を誤り、海軍は実力を出せなかったとは元利根艦長・黛治夫。
★なぜ黒島亀人(44期)を重用したのか?
連合艦隊の参謀と言えば日本海海戦の時は秋山真之。このポジションが黒島となった。
しかし、黒島の作戦はあまりに奇をてらったものばかり。人間魚雷とか桜花とかも黒島のアイデア。
山本が宇垣纒をとばしてその部下の黒島と相談することも指揮系統混乱を招いた一因。
日露戦争では東郷元帥が秋山真之と話すことなどなく、参謀長の島村速雄や加藤友三郎と話した。
山本の好き嫌いが悪影響。
♨軍令部に「真珠湾作戦を認めないなら山本長官は辞任するぞ!」と恫喝した役も黒島。
まとめ
開戦時に近衛には「半年や1年は暴れてみせます」とカッコつけてしまう。(絶対無理と言うべきだった。このあたりが井上成美との違い。)
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」 と名言が残るが、本人は「言って聞かせ」が苦手だった?
奇襲を好む。真珠湾にしてもミッドウェイにしても、軍令部などの反対を押しのけて実行。真珠湾は成功したかのように見えるが戦略的には失敗。ミッドウェイは大失敗。
最後は米軍に撃墜されたが、「カッコつけての」自殺説もあるほど。女好き。