こんにちは。
今回ご紹介しますのは、「データで見る太平洋戦争」(高橋昌紀、2017年、毎日新聞社)です。
データを駆使して、「いかに太平洋戦争は無謀であったのか」を伝える書籍です。
(※「太平洋戦争の新常識」(歴史街道編集部、2019年、PHP出版)など「太平洋戦争を愚策で終わらせてしまうことは、日本人にとってあまりに不幸」という論調の書籍もありますが、双方の意見を読むことが必要でしょう。)
それにしても、日本史は難しいですね。
数学や物理など答えが1つの学問の方がよっぽど対策しやすいと思います…。
さて、本書の目次ですが、
まず、第1章は「230万人はどのように戦死したのか?」です。
実際の数は民間人含めると310万人程度、と考えておけば良いでしょうか。
それにしてもすごい数…
と言いたいところですが、ソ連は2700万人【独ソ戦:コチラも】という話を聞くと、さらに驚きます…
(人口比率を考えても明らかに多い)
最後の1年で9割死んだ(!)ということも頭に入れておきたいですね。(「日本軍兵士」吉田裕、2017年)
つづいて、第2章は、「神風は吹いたのか?4000人が死んだ特攻」。
「特攻」と言うからには、相手に体当たりして相手もろとも死んだ…とせめて思いたいところなのですが…
実際は命中率がそれほど高くなかったことが判明。
これでは報われませんね…
そんな報われない作戦を遂行したくない、と「ちゃんと」断ったパイロットもいたようです。
(こういう事例こそ学ぶべきでしょう。)
第3章は、「真珠湾攻撃は米国を砕いたのか?国力1/4、日本の大ばくち」。
結局、これが全てといっても過言ではないんじゃないでしょうか。
いかに真珠湾攻撃が愚策(戦術的には成功でも、戦略的に失敗)であったかを考えると、悔やんでも悔やみきれません。
第4章は「欲しがらずに勝てたのか?ー子供の平均身長が縮んだ」。
時々、1934年生まれの患者さんに遭遇しますが、成長期に栄養不足を経験した方々です。
前の世代の人たちよりも6cmも平均身長が低く、今の世代の人よりも14cmも低いそうです。
現代はストレス社会とか言う人がいますが、いつ空襲が飛んでくるかわからず、さらに栄養不足で困っていた彼らに比べたらストレスなんて言葉は軽々しく発してはいけないんじゃないか、と思います。
第5章は「戦艦大和は不沈艦だったのか?」。
結論からしますと、「不沈艦」ではありませんよね…
これについては、最近、様々な意見が出されておりますが、もっと違った「運用方法」があったのではないか、というのが、最新研究の成果です。
第6章は「沖縄は「捨て石」だったのか?」。
というかですね…
「捨て石」というか、日本にはもう兵を運ぶ船舶がなかったんじゃないでしょうか。
そりゃ、関東軍を全員引き揚げて戦えば、捨て石だなんて言われ方はされなかったと思いますが、
もう海上交通は抑えられていたのですよね…
さらに、日本はこの時には何度も和平を提案していたというではないですか…
「捨て石」という表現は戦後からで、当時の日本国民はみな次は本土決戦と考えていた、という意見もございます。
第7章が、「アジアは1つだったのか?帝国崩壊、死者は2000万人を超えた」です。
アジア全体で2000万人死んだということで、ソ連の2700万、ドイツの600万などなど合わせて、一体第2次世界対戦でどれだけの命が犠牲になったのか、と調べてみたら、8500万人とも。
(ちなみに2021年4月現在、コロナウイルスによる全世界の死者は約300万人)
「アジアは1つだったのか?」という問いかけは「大東亜共栄圏」について問いかけています。
非常に読みやすく、わかりやすい本でした。
是非、太平洋戦争の1st bookとしても御覧ください。
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