~「もう一つ上の日本史」出版に伴い、勉強方法も変える必要が出たので、全面改訂突入します~

☞【§1.230万人はどのように戦死したのか?】『データで見る太平洋戦争』(高橋昌紀、2017年、毎日新聞出版より)

2017年の作品。「いかに太平洋戦争が無謀であったのか」という主旨ではある。

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【第1章のまとめ】

★1964年の厚労省発表では軍人・軍属230万人が戦死したことが報告された。実際はもっと多いかも知れない。(※民間含めると310万人。)

★「餓死」&「病死」の割合が多いこと、「降伏が許されなかった」ために突撃して死んだ者、「自死」したものが多い。

★1944年、絶対国防圏を突破されて以降は、国民の「根こそぎ動員」が行われた。これにより国内の生産力は激減。精兵ではないため戦闘能力も低下。さらに、関東軍の南方転用も行われようとしたが、空からの護衛がないため、沈没死したものが多数。

「太平洋戦争を愚策で終わらせることは日本人にとってあまりに不幸」という、2019年7月発売の最新刊「太平洋戦争の新常識」(歴史街道編集部、PHP出版)は結構正反対のことを書いていたりもするので、合わせて読むことで双方の意見を取り入れることができる、か。

いずれにしても日本を過大評価してもいけないし、過小評価してもいけない

幕末本も30冊くらい読んだが、太平洋戦争本も30冊くらいは読まないといけないと感じている。

以下、読書メモおよび雑感。

第1章:230万人はどのように戦死したのか?

★当時の日本にとって戦争継続に必要な石油、鉄鉱石、ボーキサイト、ゴムなどの戦略物資を抑えるために、南方の資源地帯の確保は死活問題であった。南方の資源を確保したうえで米軍を迎え撃つことが当初の戦略であった

しかし、緒戦の結果に目がくらんだか(?)、ミッドウェー島(日本とハワイの中間)、ニューギニア島(オーストラリア隣接)占領を目指したことなどは、「補給線が伸びすぎる」という結果を招いた。劣勢に回ると、補給線は絶たれ、多くの兵(少なくとも6割以上)が餓死あるいは病没した。

♨「日本は兵站を軽視した」「長州は基本的に豊かな国だから兵站が苦手」などという考えには反対意見もある。他国でも兵站にはだいぶ苦労しているのだ。ちなみに兵站の天才と言われたのは豊臣秀吉。

★厚労省発表の地域別・戦争別戦没者数(1964年公表)では、

中国 45万5700人
仏領インドシナ 1万2400人
マレー半島、シンガポール 1万1400人
タイ 7000人
スマトラ、ジャワ、ボルネオほか 9万600人
フィリピン(1944年~45年、レイテ沖海戦含む) 49万8600人
ニューギニア 12万7600人
ガダルカナルの戦 2万800人
樺太・千島(1943年5月、アッツ島の戦いなど) 1万1400人
中部太平洋諸島(サイパン、グアムなど) 24万7000人
インパール作戦(1944年3月~7月) 3万8400人
台湾(1944年10月、台湾沖航空戦) 3万9100人
小笠原諸島(1945年2月~硫黄島の戦い) 1万5200人
沖縄諸島(1945年3月~沖縄戦) 8万9400人
日本本土(※原爆含む) 10万3900人
シベリア(※シベリア抑留は60万人とも) 5万2700人
満州 4万6700人
朝鮮(1945年8月9日、対極東ソ連軍など) 2万6500人

1944年、絶対国防圏が破られ、台湾、沖縄への米軍侵攻は時間の問題となったが、国民の「根こそぎ動員」と、関東軍の南方戦線転用で乗り切ろうとする

しかし、国内における熟練工もいなくなり、兵も生産能力も低下することとなった。また、関東軍の輸送船は撃沈され、海没する部隊が相次いだ

★また、国際的には1929年のジュネーブ条約で捕虜の権利は保障されていたが、日本兵は降伏が許されなかった。(【水木しげる「総員、玉砕せよ」】のとおり。)

生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪過の汚名を残すこと勿れ(1941年1月、東条英機)」という戦陣訓があったため、上官は部下に降伏を許さなかったため、死者が拡大した。

降伏すれば非国民扱いされ、残された家族が迫害される恐れがあったと言われている。

【日本軍兵士】(吉田裕、中公新書)は現在、ベストセラーとなっているが、是非、読んでみたい。戦死者の9割以上は最後の1年で死んだ

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【追記:「日本軍兵士」を読んで(2020/02/29)】

2019年新書大賞、18万部突破という。印象としては、この「データで見る太平洋戦争」+山本七平氏の「敗因21か条」。

結局のところ、日本は日本人を大切に扱わなかったし、それを支持する生物学的知識も持ち合わせていなかった。哲学的にも脆弱。

具体的には栄養状態が悪いので病気が治らない、海没死があまりに多い、自殺も多い、など。兵士は後半になれば劣等な兵士がかき集められたため、装備も劣悪。私的制裁も多い、日本人を襲う日本人もいたし、歩けないものは殺されたりもした。

これでは勝てるわけがないと改めて思った。

<インタビュー:半藤一利(作家)>

★230万人という数字が出ているが、これすら過小評価ではないかと思う。戦争においては正確な人数を把握していないと必要な物資などが算出できないはずであるが、それすらできていなかった、と思われる。

日本兵は「はがき1枚」で集められる存在。3日分の食料を背負わせて前線へ送り込み、それ以後は「現地調達しろ、降伏はするな」というのが将校たちの考え。兵士は完全に「駒」扱い。一方、米国は人命を大事にした

海上移動中に沈められた陸軍将兵は18万人にものぼると言われている。開明的とされる海軍も陸軍とさほど変わりはなかった

陸軍の特攻を指揮した冨永恭次をはじめとして、偉い人は戦争を生き抜いている。「日本的美学」などとんでもない。戦没者230万人の犠牲のうえに今の日本が成り立っていることも、認識すべきであろう。

<雑感>

★【「昭和陸軍の軌跡」(川田稔)】を読むと、日米開戦後の日本の官僚主義についてよくわかる。

結局、永田鉄山の思想を形式上は受け継いでいるものの、永田鉄山は既に暗殺されているから「応用力」が効かない。

1944年以降、有効な戦略を打ち出せなかったのはまさにそれ。武藤章や田中新一ですら東条英機によって左遷されてしまっていた。残った二軍のような人々で勝てるはずがないであろう。

この人たちは部隊が「ちゃんと」全員玉砕したかをひたすら記録しているような人々だし。

石原莞爾は応用力を聞かせて、永田鉄山の初期設定から変化を加える試みをしたが、それに対する反対勢力により失脚。

日本人をやたら美化する論調もあるが、日本人の特性もよく知っておいた方が良いと思う。

社会心理学的には、【コチラ:日本の安心はなぜ消えたのか】、実際の太平洋戦争におけるものとしては、山本七平先生の【「日本はなぜ敗けるのか~敗因21カ条」】などもオススメしたい。

★地域の体育委員になった時は、昭和の名残を十分に堪能した。上層部は、委員を駒扱い、どこに何人必要かも全く把握しない状態で指図。

もちろん、良い人もいるのだが、中には一般委員をアゴで使うのがいるので相当腹が立った。

日本人の良さをやたらと喧伝する人もいるけど、小学校の頃から思い出してみて欲しい。クラスに何人かは嫌な奴がいたであろう。当たり前だが、日本人だからと言って、全員が喧伝されているような日本人ではないのだ。

また、会議はそもそも既に決定事項を承認させたいだけなので、いくら発言しても全く聞かず。「よく検討します」と言って何も検討しないことが何度あったことであろうか。

どうして日本が敗けたのか?というのは、地域の体育委員会を見ても想像つく。

日本が好きで、日本のことを大事だと思うからこそ言うが、こういうのは平成の世で終わりにして欲しい。

★また、産業革命が欧州で起きて、なぜアジアで起きなかったのか?という問いに対して、「欧州は人間の価値が高かったので、産業革命によって人件費を削ることが有意義であったが、アジアは人が多く、そもそも人間の価値が低いので、人件費が安く、産業革命と言う方向に走らなかった」という説明をしている書籍があった。

その論の正否はともかくとして、アジアと欧州の人口の違いは押さえておきたい。

「ファクトフルネス」(2019年、日経BP)によると、2100年にはアジアの人口は今より10億人増えて50億人、欧州、アメリカは10億人のまま、という試算だ。

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とはいえ、人間の価値が低いなどと考えてはならない。

第2章:神風の効果についてはコチラ