こんにちは。
今回ご紹介しますのは、『官賊と幕臣たち』~列強の日本侵略を防いだ徳川テクノクラート~(原田伊織、2016年、毎日ワンズ)です。
もし明治維新がなければ、日本はずっと遅れたままだった・・・なんて、ずっと思っていました。
大学生の時は「おーい、竜馬」を読んで、坂本龍馬のようになりたいっ!って思いましたし…
ところが、
昨今では「はたして明治維新は正しかったのか?」という問題提起がトレンドとなっているではないですか!
その端緒と言えるのが、2015年に原田先生が出された「明治維新の過ち」。
本書はその続編ですが、より面白くなっている気がしました。
まず、「幕末と昭和前期の軍国主義は一本の線で結べる」とし、その延長線上にあるとしている現政権にも危惧。
幕末に関しては、
幕臣官僚たちが一致して考えていたことは、勝てない戦はやってはならぬということであった。…欧米列強と戦をやっても勝てぬとなれば、外交交渉で防ぐしかない。軍事力の裏付けなくして外交交渉が成り立つのか。…彼らは知力と胆力と人間力で列強と渡り合った…。
「官賊と幕臣たち」はじめに
と、交渉に当たった幕臣官僚の功績を挙げ、
一方、…反徳川勢力は、裏では大英帝国と気脈を通じながら、「尊皇」という時代の気分に乗って、その「皇」であるはずの天皇を政治的な道具として徹底的に利用しつつ、ひたすら幕府の足を引っ張った。
「官賊と幕臣たち」はじめに
と、薩長を非難。(♨あれれ、今まで思っていたこととちょっと違うぞ・・・)
そして、幕末に日本が植民地されなかった理由は、
徳川体制そのものであり、また、高度な教養と倫理観を身にまとった他ならぬ幕臣官僚であった
「官賊と幕臣たち」はじめに
とのこと。
さらに現在の学校教育の変革を主張されます。
読めば読むほど、幕臣官僚の優秀さを知ることとなり、
「江戸の教育は良かったが、明治の教育は失敗だ」という話もうなづけます。
織豊時代の貿易のお話も興味深く、勉強になりました。
オススメです。
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あとがきで、「もし会津が第1次幕長戦争に参加していたらだいぶ変わっていたのではないか?」という問いかけがありましたが、僕自身も幕末のターニングポイントはここだと思います。