~只今、全面改訂中~

こんにちは。

今回ご紹介しますのは、大塚ひかり先生の『女系図でみる日本争乱史』(2019年、新潮新書)です。

本書を読んで1つの謎が解けました。

「徳川慶喜」の母系は朝廷につながる。
戊辰戦争で逃げ出した理由はそこ。

「徳川慶喜」は武家と天皇家のハーフ。

これまで戊辰戦争における徳川慶喜の行動が理解できませんでした。

しかし、「女系図を紐解く」と、慶喜の母「吉子女王」は第112代・霊元天皇を曽祖父に持ち、有栖川宮織仁親王を父に持つ、「宮家の娘」。

つまり、慶喜は「徳川家の人間でもあり、宮家の人間でもあった」のです。

さらに、養子先の一橋家にも「直子女王」という一橋家を切り盛りする強くて尊敬できる宮家の女性がいました。

自身の「妻・美賀子」と「明治天皇の妻」は義理の姉妹でもあります。

敵対する官軍の総司令官である有栖川宮熾仁親王でさえ妹の夫であり、いわば身内。

ということは、戊辰戦争は慶喜にとって「身内同士の争い」だったのです。

♨戦を早く辞めることで日本を列強の侵略から防いだという慶喜「超英邁」論など、どう考えても後付けに過ぎないと思っていたし、慶喜は日本一の尊皇派であったため朝廷に弓を引けなかったという慶喜「超忠臣」論なども、胡散臭さを感じずにはいられなかったのですが、これが一番納得しました…。

のちに明治天皇と慶喜は酒を酌み交わして、「まー、あの時は仕方なかったね」的な話をしたと言います。

男系図だけでは気付かなくても、女系図をたどると気付くこともあるのですね。

非常に面白かったです。

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ちなみに古代豪族たちも王臣家と婚姻関係を結ぶことで、その血脈を保っているんですってね。(『武士の起源を解きあかす』桃崎有一郎、2018年