~只今、全面改訂中~

☞【劇画と割り切ればオモロイ!】『仕組まれた昭和史~日中、太平洋戦争の真実~』(副島隆彦、2018年)

こんにちは。

今回ご紹介しますのは、副島隆彦先生の『思想劇画 仕組まれた昭和史~日中、太平洋戦争の真実~』(2018年、コスミック出版)です。

これ、もしかすると、「トンデモ本」に属しているのかも知れません…。

「思想劇画」というジャンルも初めて聞きました。

しかし、それらを差し引いても「面白かった」です。

敵味方がハッキリしている(し過ぎている)ので、わかりやすいのですが、

よーく読むと、理由付けが単純すぎる気がしてならない気が…。

結果は合っているので、正しいような気もするのですが、

教科書的な知識を得ることの重要性をより一層感じました。

そういう面でも一読の価値がありました。

以下、読書メモと随想です。

§1.近代日本はロスチャイルド家が育てた

のっけから「ロスチャイルドvsロックフェラー」の話から入ります。

そして、ロスチャイルドの覇権に対してロックフェラーが田中義一を従えて立ち向かう、という構図を打ち出します。

昭和初期の金融恐慌で伊藤巳代治は若槻禮次郎首相を助けませんでした。

伊東巳代治ら長州閥はロスチャイルド系とされ、田中義一も長州閥なのですが、

田中義一は「表向きはロスチャイルド系だが、裏でロックフェラーとつながっていた」…というのです。

♨この時の伊藤巳代治と若槻禮次郎の顔が絶妙。

★昭和金融恐慌(1927年)の時の首相が若槻禮次郎。その後、長州系の田中義一が就く。

★若槻禮次郎は満州事変(1931)の時の首相でもある。

§2.田中義一が導いた戦争への道

続いて「ロックフェラー&渋沢栄一(三井)&田中義一(政友会)」vs「ロスチャイルド&岩崎弥太郎(三菱)&浜口雄幸(民政党)」。

プロレスの6人タッグマッチを見ているようだ。

田中義一は、ロックフェラーの手先として日中が戦争するように仕向けた大悪人である、と徹底的に悪者にされております。

「もし田中義一が蒋介石に協力して一緒に共産党を倒していれば…」というニュアンスです。

♨山東出兵を実質的に決定したのは森恪。吉田茂も奉天総領事として東方会議に参加。軍よりも強硬論を唱えていた。

§3.金解禁を仕掛けたウォール街

1910年代は時代の転換点です。

「パックス=ブリタニカからパックス=アメリカーナ」への移行、「辛亥革命」による中華民国の成立、「ロシア革命」によるソ連の成立。

そして何より、「ロスチャイルド家からロックフェラー家への覇権の移行」

第1次世界大戦や世界恐慌もロスチャイルドを叩くためにロックフェラーが仕掛けたもので、

井上準之助は、「ロックフェラーの手先として金解禁を断行した大悪人」だそうです。

実際に、日本は大打撃を受けましたが…。

§4.満州国建国の真相と隠された謀略

満州国建国は「ロスチャイルド家の計画の一端」。

石原莞爾も勢力を満州国にとどめる予定だったが、戦火が中国全土に広まってしまった。これは、ロックフェラーが日本を「そそのかしたから」とのこと。

石原莞爾
え?そうなの??

今度は、「ロスチャイルド&鉄道王ハリマン&石原莞爾」vs「ロックフェラー&小村寿太郎&帝国海軍」という構図。

ロスチャイルドは満州に現在のイスラエルのような国家を作ろうとしていたが、ロックフェラーは日本と中国の争いを中国全土に広げてロスチャイルドの権益をひっくり返そうとしたのだといいます。

※実際に世界地図を見ると、極東に「ユダヤ人自治区」が今でもあります。

確かに、日露戦争後の南満州鉄道を日本とハリマンで共同経営するという計画が実現していたらどうなっていたのか、という思いはありますがね…。

そして、日中の争いを拡大させた張本人は帝国海軍であり、米内光政は大悪人

米内光政は穏健派にように語られることはあるが、日中関係においてはかなりの強硬派であったのは事実ですね…。

♨小村寿太郎、米内光政は人によって正反対の評価ですね。

★「海軍善玉論」は古くから存在するが、米内および海軍は対米に関しては戦争反対でも、中国に対しては強硬策をとった。

★ロックフェラーが「そそのかした」っていうのは、具体的にどういうことなのか、もっと知りたい…

満州事変:コチラも

§5.日中戦争を泥沼化させた帝国海軍

二二六事件にしても、テロ事件で殺された政財界人のほとんどは、「ロスチャイルド、三井、政友会」系

二二六事件は軍人の内部抗争ではなく、「中国侵略への国内の態勢固め」で、やはりここでも米内光政がかんでいるとのこと。

石原莞爾はその流れで左遷されたのだとも。

★うーん・・・。テロで殺されたのは三井・政友会系、と覚えておくと、団琢磨=三井、が思い出せるかな。

§6.ロックフェラー家に操られた米内光政

ナチスもロックフェラーが育てた。スターリンもロックフェラーが育てた。毛沢東もロックフェラーが育てた。

ロックフェラーは自由主義陣営と共産主義陣営を対立させ、利益を得ようとした

ちなみにレーニンはロスチャイルドが育てたが、「革命の輸出」を言い出したために幽閉された。(うーん…。)

そして、1938年、大本営会議。アメリカと「内通」していた海軍大臣・米内光政によって日中和平の道は閉ざされ、日本は戦争の泥沼に…と。近衛文麿は「爾後、国民政府を相手とせず」と発表。

★NHKスペシャルでも、ロックフェラーは知人に「極悪人」と呼ばれていました。戦争にだいぶ絡んでいたのでしょうね・・・。

§7.真珠湾攻撃の真実

真珠湾攻撃で山本五十六は明らかに「手抜き」をしてアメリカの戦力を温存

ちなみに半年後のミッドウェー海戦以後、日本はなすすべなし。

結局、アメリカにおびき出されて、散っていった…。

日本国内・海軍にも閣僚にもスパイは多数いたという。

★「手抜き」をする意味がわからん!
(「手抜きをしたかのように見える」ならわかる。どんな陰謀論だ…)

エピローグ.米内を斬れ!

終戦に伴い阿南惟幾は自刃したが、そのちょっと前に「米内を斬れ!」と言いました。

これは全て(米内がスパイ)を知ったためではないか?と。

東京裁判で海軍軍人が1人も絞首刑になっていないのもおかしいし、

広島に原爆が落ちた時、「これは天佑」(by 米内)と言ったのも、戦争が終わることを指してのものかどうかも怪しい

♨「米内を斬れ!」論争についてはあまり憶測でものを書かないほうが良いのでは…と思う。

★「米内アメリカ内通説」、ってどれほど根拠があるのか・・・。

【追記:随想】

やっぱり、「真実」って言葉を気前よく使っちゃダメだ。「思想劇画 仕組まれた昭和史」でとどめておいたら、まだ良かった。

しかし、面白い

中身を全部信じちゃダメだけど、記憶の定着はハンパない。

絵もきれい。

つまり、「劇画」と割り切ればOK。

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