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☞【近代史を勉強する前に】『満州建国の真実』(鈴木荘一、2018年)

こんにちは。

今回ご紹介しますのは、『満州建国の真実』(鈴木荘一、勉誠出版、2018年)です。

副題も含めた正式なタイトルとしましては、『究極の敗戦利得者日本外務省が隠蔽する 満州建国の真実―軍事の天才石原莞爾の野望と挫折』(長い・・・。)というものです。

・・・ちょっと、このタイトルだけを見ますと、怪しい匂いがプンプンするのですが・・・

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しかし。

結論から言いますと、

ものすごく、わかりやすかった、です。

扱っている範囲は、満州建国にとどまらず、日露戦争後から太平洋戦争まで、と近代史のかなり重要な部分を網羅しております。

(それなのにコンパクト。)

そして、メインとして扱った地域は、「満州」です。

「満州」ってどんな地域だったのかあんまり教科書で触れられていないのですよね・・・。

袁世凱死後の軍閥跋扈状態含めて、ここまでわかりやすくコンパクトに書いてくれた本はなかなかないと思います。

教科書だけでは近代史はわかりにくいと思うのですが、本書を一通り読んでから勉強すれば、理解がスムーズに行くに違いない、と思いました。

ただ、タイトルに関しましては、普通に『鈴木荘一が読み解く 満州事変とアジア・太平洋戦争』で良かったのではないのでしょうかね。

それとも、それではインパクトが足りないのでしょうか。

僕は「鈴木荘一」先生の名前が入るだけで、十分だと思うのですがね。

(なんせ、鈴木荘一先生といえば、「明治維新の正体」が名著です。)

また、本書のタイトルだけ見ますといかにも外務省が巨悪組織のような印象を受けますが、単に小村寿太郎、松岡洋右、広田弘毅の批判にとどまっております。

石原莞爾の「天才性」についてはさほど触れられておらず、「野望」という面に関しましては、ちょっとニュアンスが違うのかな、と思います。

(正確に書くなら、「石原莞爾の国防意識とその挫折」でしょうか?)

そうした面もありまして、タイトルだけ見ますと、もしかすると敬遠してしまう方もいらっしゃるかも知れませんが、中身は非常にわかりやすい本でした。

もっとも、本書だけではどうしても不十分な箇所がありますので、「昭和陸軍の軌跡」(川田稔、2011年)、「戦争とファシズムの時代へ」(河島真、2017年)も併用されることをオススメします。

リンク

【日露戦争後の満州と小村寿太郎】

【日露戦争前の満州】

【張作霖の前半生】

【袁世凱死後の軍閥跋扈状態】

【張作霖を殺したのは誰だ?】

【中国共産党はココから】

【1920年代の軍縮】

【アメリカのオレンジ計画】

【満州国建国】

【リットン報告書】

【加藤陽子先生への反論】

【盧溝橋事件は停戦していた】

【日中戦争第2R】

【上海・南京陥落とトラウトマン工作】

【なぜ松岡洋右は日米諒解案をつぶしたのか?】

【なぜ石原莞爾は東條英機を暗殺しようとしたのか】

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しかし、満州は日本が開発したインフラのおかげで中国大陸随一の工業地帯となったにも関わらず、ソ連の対日参戦によってソ連に実権を渡されてしまうのですよね…(その一部が中国共産党へ)

これはヤルタ密約のせいなんでしょうけど…